2000 Fiscal Year Annual Research Report
ウオルタア・ローリーの詩、散文、伝記についての研究
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12610516
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Research Institution | Koshien University |
Principal Investigator |
櫻井 正一郎 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (60026812)
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Keywords | Youghal / John White / Smerwick / Michael Rudick / ネオ・ヒストリシズム |
Research Abstract |
1.ローリーの伝記研究のために、夏期にほぼ一カ月をかけて、ケンブリッジ大学「大学図書館」において、十分の量の資料を収集した。夏期にはまた、アイルランドで現地調査を行った。すなわちCork州のYoughalで、ローリーが住んでいた豪邸と、腹心だったJohn Whiteなどが住んでいたとされている村々を訪れた。付近はイングランド南部と変わらない豊穣な地帯であると分かり、ローリーが財源にしていたOak材の採取方法と利用状況、入漁権を売っていた環境などを知ることができた。また、Kerry州のDingle半島で、ローリーがスペイン人たちを虐殺したといわれているSmerwickとその周辺を踏査し、それを行える地勢であるのが分かり、また、そのときのローリーの行動についての伝説の、真贋について、地勢のうえから真である面と贋である面があると、判断することができた。 2.ローリーの詩については、新しい立場によって編まれた新訂版Michael Rudick(ed.),The Poems of Sir Walter Ralghの検討をせまられた。この新訂版は、ネオ・ヒストリシズムの立場から、ローリーの直筆である作品よりもむしろ、異本が多くて別人の筆が入っている作品の方を重視し、異本に時代の産物として独立した価値をあたえている。しかしながら、ローリー詩の研究はローリーが書いた詩に収斂しなければならず、異本のなかにローリーが残っている部分を探すという新しい課題が生じている。
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