2001 Fiscal Year Annual Research Report
ウオルタア・ローリーの詩、散文、伝記についての研究
Project/Area Number |
12610516
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
櫻井 正一郎 龍谷大学, 文学部, 教授 (60026812)
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Keywords | 旅行記 / ギアナ / オリノコ河 / サン・トメ / 金鉱 / 自然観察 / J.L.Mills / Rudick |
Research Abstract |
(1)現地調査として、二度にわたったローリーの、ギアナ(現ヴェネズェラ)遠征を追体験した。まず、ボートをチャーターして、ローリーが入国したオリノコ・デルタ河口からマナモ河を溯上、迷いこんだ支流と特定されるモリカール・ラルゴに寄り、本流に戻ってオリノコ河を溯上、二度目の遠征でスペイン側と交戦したサン・トメの要塞と僧院を調査し、さらに溯上して、一度目の遠征で船団が溯上を諦めたカノーリ河の二つの大滝、特にローフリング大滝と付近を精査した。次に、ローリーが接した自然と比較するために、セスナ機を用いて、カノーリ河の上流カナイマに至り、よりスケールの大きい自然に接した。この全調査によって、ローリーの旅行記にみえる自然観察が正確であり、にもかかわらず感嘆した自然が奥地の野生にははるかに及ばなかったと分り、金鉱の気配が皆無であることからエル・ドラード(黄金郷)は伝説としてのみ存在したことを確認し、現地人は長らくスペイン人と同化していて、当時の現地人がスペイン人よりもイギリス人に親近であったというローリーの証言には冷静な検証が必要であろうと留意した。(2)文献資料の収集は、過去に二夏を費したケンブリッジ大学図書館で、三回目の収集を行った。今回は文献案内を新たに、J. L. Mills, `Recent Studiesin Ralegh', ELR vol.15,no.2(1985)に求め、未知の資料を補完し、この補完によって膨大な資料もほとんどを収集することができた。(3)詩の研究については、Rudick, Hayなど新しい立場の注解から学びながら、重要詩の訳出をおえたほか、Robert Sidneyの詩などの、背景となる作品の研究に向い、女王への哀訴というローリーの定番以外の詩の価値を発掘できた。
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