2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610526
|
Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
柏木 加代子 京都市立芸術大学, 美術学部, 教授 (10128689)
|
Keywords | クロベール / 『ブヴァールとペキュシェ』 / ピエール・バルブトー / 『ラ・フォンテーヌ寓話抄』 / ジャポニズム / 明治日本画壇 / シャガール / 日仏文化交流 |
Research Abstract |
12年度に得た、フロベールの初期作品群から晩年の大作「ブヴァールとペキュシェ」における文体の整理、分析による文献を基盤にして、1821年から1880年までの歴史的背景のなかでフロベールの芸術家としての社会的な役割を考察した。併せて、フロベール没後の芸術の流れである、象徴主義、ダダ、シュールレアリスム、またアントワヌの「自由劇場」などの分析をとおして、フロベール芸術創造の軌跡の中に近代フランス文化の流れの秘密を解く鍵が見られることを証明した。これらの研究に関しては、2001年10月17日、兵庫県民講座<ひょうご講座>で其の成果を発表する機会を得た。 また、フロベールの後世への影響を国際的な観点からグローバルに考察するために、13年度は、日本人画家による「ラ・フォンテーヌの寓話抄」の挿絵についての研究も行った。版画構成のこの絵本は、1894年、10月20日、ピエール・バルブトーの編集で、築地印刷所で印刷されたフランス語版の豪華本である。2冊本で寓話の中から28話だけ選び、編者バルブトー自ら選んだ<東都の著名な四人の日本人画家>に挿絵を描かせたものである。19世紀末から20世紀初頭にかけての、日仏文化交流の文献にも触れながら、近代芸術の父としての小説家フロベールの偉大さを、幅広い芸術・文化の流れの中で考察した。
|
Research Products
(1 results)