2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610535
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 秀彰 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60296944)
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Keywords | ドイツ語発音 / 言語規範 / 標準発音 |
Research Abstract |
これまでの研究は大きく分けて、規範メカニズムの理論的考察とドイツ語発音規範の史的考察の2つに分けられる。 (1)社会心理学者Jacksonのリターン・ポテンシャル・モデル^<(註)>による規範の強度と凝集性を援用しながら言語規範のメカニズムを考察した。規範の成文化を規範典に記述されている変異形の「確認」、経験的調査結果に基づく「更新」、言語体系整備のための「拡充」の過程の中でとらえ、それぞれ経験的に観察された変異形分布の「十分な凝集と強度」、「高い凝集と強度」、「低い凝集と強度」に対応することを指摘した。言語規範の成文化は、理論と経験の融合により結実するものであり、この両者を接続するインターフェース理論構築に向けての基礎研究を継続中である。これまでに行った研究の成果はGesellschaft fur Angewandte Linguistikの第31回大会(Bremen:2000年9月29日)で口頭発表した。 (2)ドイツ語発音の成文規範が誕生して100年が経過し、その間に音声分析の技術は大きな飛躍を遂げた。しかし、規範論的考察が不十分で、記述法は1969年のSiebsで停滞しているといっても過言ではない。発音規範の通時的背景を振り返り、現在確認される音声変異形の標準形への移行過程を研究した。ドイツのドイツ語のと標準ドイツ語が峻別されないまま記述が行われ、そのためにドイツ語の多様性と統一性が十分評価されていないことを指摘した。この研究成果を論文「オーストリア、スイス、ドイツにおける様々なドイツ語標準発音」として発表した。 ^<(註)>Jackson,Jay M."Structural Characteristics of Norms."Ed.Henry B.Nelson.The Dynamics of Instructional Groups:Sociopsychological Aspects of Teaching and Learning.University of Chicago Press,1960:136-163.
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Research Products
(1 results)