2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12610535
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
高橋 秀彰 九州工業大学, 工学部, 助教授 (60296944)
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Keywords | 発音規範 / 標準変種 |
Research Abstract |
影響力が最も大きいDuden Das Ausspracheworterbuchはドイツ語圏を代表する標準変種を記述していることになっているが、実際には単一国家的視点で記述されていることを示した。この点に関するDuden編集部への私の調査により、発音の専門家が編集部には存在しないため、Max Mangold教授(ザールブリュッケン大学)に一切を委ねており、Duden編集部は状況を十分に掌握できていないことが分かった。Duden Die deutsche Rechtschreibungにおける発音記述と部分的に齟齬を来たしているのは、このためであると考えられる。ドイツ語発音規範成り立ちの史的背景並びにドイツ語圏の人々の標準変種に対する態度調査の結果を踏まえて、新しい規範作成に向けての提言を行った。以上の研究成果については『ドイツ文学』に発表した。 Bartschは規範の容認可能性を「コミュニケーションを目的とする合理性の原理」に基づき、「コミュニケーションの最高規範における正しさ」を規定した。これはWeberの「目的合理性」に関わる原理であるが、コミュニケーション規範を考えるにあたっては「価値合理性」も重要であり、Simonの「有界合理性」と合わせて説明することの必要性を説いた。また、規範には成文規範の階層性、実用規範の階層性、複数国家の階層性があることを示し、言語規範の複合的構造を指摘した。成文規範については、発音表記の抽象度にり精密表記と簡略表記、標準変種の捉え方により単一国家的と複数国家的の4次元で、それぞれの程度に応じて分類した。以上の結果をSophia Linguisticaに発表した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 高橋 秀彰: "Entwicklung der orthoepischen Varietaten der deutschen Sprache"ドイツ文学. 108. 69-81 (2002)
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[Publications] 高橋 秀彰: "Mechanismen der Sprachnormierung unter besonderer Berucksichtigung der Aussprache : theoretische Uberlegungen"Sophia Linguistica. 48. 147-163 (2002)