2002 Fiscal Year Annual Research Report
18世紀西欧とコスモポリタンの思想と行動-ゲオルク・フォルスター研究
Project/Area Number |
12610539
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
船越 克己 大阪府立大学, 総合科学部, 教授 (40079108)
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Keywords | ゲオルク・フォルスター / ゲーテ / ブラバント革命 / リエージュ革命 / コスモポリタニズム / ヴァイマル古典主義文学 / フォルスターと絵画 / 西欧都市 |
Research Abstract |
ゲオルク・フォルスターの『ニーダーラインの観察考』(Ansichten vom Niederrhein von Brabant, Flandern Holland, England und Frankreich im April, Mai und Junius 1790,1791-1780)は『世界周航記』(英語版1777;ドイツ語版1778-80)とならんで、フォルスターの旅行文学の双璧をなし、かつ18世紀旅行文学のすぐれた記念碑である。その高い評価は『世界周航記』の最近の翻訳(上巻)によって示唆されている。報告者も『ニーダーラインの観察考』の重要性を鑑みて、本年度は集中的にその翻訳に取り組み、その原稿をあらかた仕上げた。ところで『ニーダーラインの観察考』において、オーストリア領ネーデルランド(現ベルギー)の記述が分量的に半分を占めていることからも推察できようが、フォルスターはフランス革命(1789)後、この地域に短期間とはいえ、革命運動が起こり、旧体制を揺るがしたことに大きな関心を寄せていた。啓蒙主義者から共和主義者の立場に移行し、1792-93年のマインツ共和国樹立に中心的役割をはたしたフォルスターがいかにオーストリア領ネーデルランドの革命の経過を観察したかは、報告者の関心事である-報告者は特にクリスティアン・ヴィルヘルム・フォン・ドームの『1789年のリエージュ革命』(1790)と『ニーダーラインの観察考』の関連を注目した。次いでフォルスターはどのような視点で西洋の都市を観察したか、さらに図像学的視点から『ニーダーラインの観察考』の記述を検討した。 3年間の科研費によるフォルスター研究をまとめる意味で、報告者は「ゲオルク・フォルスターにおけるコスモポリタニズム」とドイツ語論文"Georg Forster im Blickfeld Goethes in Weimar"(「ヴァイマルのゲーテの視点から見たゲオルク・フォルスター』)を執筆し、革命家としてのフォルスターをドイツ啓蒙主義の思潮のうちに位置づけるとともに、ヴァイマル古典主義文学フォルスターというテーマに焦点をあてた。
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[Publications] 船越克己: "ゲオルク フォルスターにおけるコスモポリタニズム"ドイツ文学(日本独文学会). 第1巻,第2分冊(通巻110号). 66-82 (2003)
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[Publications] 船越克己: "Georg Forster im Blickfeld Goethes in Weimar"ゲーテ年鑑(日本ゲーテ協会). 第45巻. (2003)