Research Abstract |
本研究は,朝鮮語と日本語の間の,いくつかの重点的な観点から広義の自動翻訳に必要な資料を構築し,可能な部分から積極的に公開せんとするものである.両言語間の自動翻訳に必要な膨大なる基礎資料を,巨大な労力を費やした単なるコーパスの形で蓄積するのではなく,既存の自動翻訳では解決の難しかった諸点に実際の調査と研究の焦点を絞り込んでいる.このことによって作業は,限定的な調査研究年限のうちでも比較的能率的に遂行しえている. ここでは,朝鮮語と日本語の間の,(1)表現様相の統辞的なレベルにおける差異,(2)表現様相の語彙のレベルにおける差異という,2つの課題にのみ焦点を絞り,典型的な事例を収集,整理,分析している.統辞的なレベルと語彙的なレベルそれぞれにおいて,翻訳誤差の少ないことがらは大胆に切り捨て,最も問題となるのはどのような差異なのかを調査中である.次年度は,そこで明らかにされた差異ごとにユニット化し,沿って資料を整理,構築してゆく. また,日本語母語話者の朝鮮語学習上の誤答分析と,既存の翻訳アプリケーションソフトの翻訳の分析から,誤答の類型のうち,典型的なものいくつかをとりあげ,それらに沿って資料を収集している.巨大な資料をやみくもに集めるものではなく,ピンポイント的な作業遂行形態をとっていることが特徴である. 初年度は,主要設備を導入し,資料を収集,整理することに主眼を置いているため,成果の発表は次年度に集中する予定である.なお,研究成果を逐一公開することを可能にするため,2000年11月29日,WEBサイトhttp://vanilla.fs.tufs.ac.jp/〜noma/,およびミラーサイトとしてhttp://www.aurora.dti.ne.jp/〜noma/上に報告のページを開設した.
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