2002 Fiscal Year Annual Research Report
発話表現意図に関わる日本語文末形式・ピッチパタンの分析と指導法の開発
Project/Area Number |
12610551
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
御園生 保子 東京農工大学, 留学生センター, 教授 (00209777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深尾 百合子 東京農工大学, 留学生センター, 教授 (90272640)
越前谷 明子 東京農工大学, 留学生センター, 教授 (30213549)
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Keywords | 文末形式 / ピッチパタン / 用法 / 上昇 / 下降 |
Research Abstract |
「用法=発話表現意図」と対応した文型としてのピッチパタンがあるかどうかを検証するため、ジャナイの否定と文末詞の用法を取り上げている。 訓練を受けた話者と4人の東京方言話者が、ジャナイを使った文例を読み分けた録音資料の中から、スキジャナイの否定↓、文末詞↓、否定疑問↑、文末詞↑計37個の刺激を選び試聴実験をし、文脈なしで選択肢から意味を選べるか、その結果がある程度一致するかを検討した。選択肢は1.否定=好きじゃない2.肯定=好きだ3.yes-no質問文=好きじゃないか?嫌いか?4.聞き手に念を押したり、確認を求めたりする≒好きでしょう、の4個である。 その結果、下降調については、否定の下降調には「否定」の解釈、文末詞の下降調には「肯定」「念押し確認」の解釈がおおむね対応している。しかし、上昇調の刺激に対する回答は、半数が「y-n質問文」、38%が「念押し/確認」になっているが、「否定」「肯定」という回答も少数あり、単純にピッチパタンと回答が対応していない。下降調の場合、「否定」と「文末詞」という文法範疇の違いはピッチパタンの違いとある程度対応しているようである。上昇調の場合、「否定疑問文」と「文末詞」の違いもはっきりしない。ただし、「y-n質問文」という判定が「念押し確認」に比して多かった刺激はいずれも「ジャナ↓イ↑」と、「ナ」のあとで下降してからまた上昇するというピッチパタンを取っている。上昇調についても否定疑問文と文末詞の区別にピッチパタンがある程度は関与している可能性も否定できない。 また、被験者別に回答パターンを見ると、比較的単純な者と複雑な者があった。単純と複雑の違いは上昇調の刺激に対する回答の種類の多寡のように見える。検証が必要である。
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