2000 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランド語の文法機能を表示する格に関するコーパスを用いた実証的研究
Project/Area Number |
12610555
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐久間 淳一 名古屋大学, 文学研究科, 助教授 (60260585)
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Keywords | フィンランド語 / 格表示 / 文法機能 / コーパス |
Research Abstract |
本年の研究は、昨年8月にエストニアのタルトゥ大学で開催された第9回国際フィン・ウゴル学会で行った研究発表の結果を総括することから始めた。研究発表のタイトルは、The Nominative and the Genitive in the Finnish Languageであり、その内容は、フィンランド語において、語彙的な要因によらないで付与される3つの格、すなわち主格と属格と分格がそれぞれどのような仕組みで付与されるのか、特に前二者について考察したものである。研究発表の結果を踏まえ、12月には、「フィンランド語における主格および属格の付与とその条件について」という論文にまとめた。本研究の目的は、格付与の仕組みを説明する理論的な枠組みを提示することにあり、この論文は今後の研究の出発点となるものである。今後は、この論文での論考を基礎として、言語コーパスのデータを使いながら、関連事象を含め、格付与の仕組みを統一的に説明できる理論的な枠組みを追究していくことになるが、その手がかりとなる言語コーパスについても、より一層の充実を図る必要がある。今年度は、平成9・10年度に受領した科学研究費補助金で構築した手元のコーパスを、より使いやすいものにするため、今回の補助金で購入した言語コーパス関係の図書を参照し、コーパス改良の基本方針を立て、その方針に沿って、年度後半を中心に大学院生の協力を得て実際の改良作業を行った。 なお、当初の計画では、第9回国際フィン・ウゴル学会への参加は、科学研究費補助金を充てる予定であったが、平成12年度文部省国際研究集会派遣研究員に採用されたため、外国旅費に予定していた金額は設備備品費に回し、東京大学や国立民族学博物館などで資料収集や研究打ち合わせを行う際に、効率的な作業を行う上で不可欠な携帯用のノートパソコンを購入して、有効に活用した。
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