2001 Fiscal Year Annual Research Report
フィンランド語の文法機能を表示する格に関するコーパスを用いた実証的研究
Project/Area Number |
12610555
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐久間 淳一 名古屋大学, 文学研究科, 助教授 (60260585)
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Keywords | フィンランド語 / 格表示 / 文法機能 / コーパス |
Research Abstract |
本研究は三年計画であり、今年度は二年度目に当たる。今年度は、昨年8月にエストニアのタルトゥで開催された第9回国際フィン・ウゴル学会における研究発表、およびそれをもとに同年12月にまとめた論文「フィンランド語における主格および属格の付与とその条件について」における論考を基礎に、文法機能を表示する格のふるまいに関して、従来あまり注目されてこなかった個々の具体的な事例について検討を加えた。フィンランド語の文法でStatus Constructionと呼ばれている構文の、付帯的な状況を表わす二次的な述語の主語に相当する名詞句の格表示の問題もその一つである。二次的述語の主語相当名詞句が原則として属格で表示されるフィンランド語にあって、なぜこの構文では主格で表示されるのか、その共時的な理由はこれまで明らかでなかった。この点に関しては、Status Constructionを一種の所有文と比較することが有効であり、そうすることで、同じく主格で表示される所有文の動詞後要素に準じて考えることが可能になる。この論考の結果は、論文'On the So-called Status Construction in the Finnish Language'にまとめた。 この論考に限らず、本研究の論考は、言語コーパスから得られる言語資料を手がかりにしているが、平成9・10年に受領した別の科学研究費補助金によって構築した言語コーパスの改良作業も、前年度に引き続き行った。これまでコーパスに入力した言語資料は、文章量として比較的短いものが多かったが、格表示を文脈との関係で総合的に分析できるように、今年度は、長文の言語資料を大学院生の協力を得て入力した。
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[Publications] 佐久間淳一: "The Nominative and the Genitive in the Finnish Language"Proceedings of the Ninth International Congress of Finno-Ugric Studies, Pars VI. 113-121 (2001)
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[Publications] 佐久間淳一: "On the So-called Status Construction in the Finnish Language"名古屋大学文学部研究論集. 142. 1-10 (2002)