2000 Fiscal Year Annual Research Report
ベルギー象徴派研究-フランドルとワロニーの相克と共存
Project/Area Number |
12610571
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
倉智 恒夫 千葉大学, 文学部, 教授 (20062614)
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Keywords | ベルギー象徴派 / フランドルとワロニー / ラーテム・サンマルタン / メーテルリンク / ローデンバッハ / ジョルジュ・ミンネ |
Research Abstract |
ラーテム・サン・マルタン・コロニーの研究 19世紀末ベルギー象徴派運動を、文学・絵画・彫刻およびその他の諸芸術との関連のなかで総合的に把握することを目的とし、フランドル(オランダ圏)とワロニー(フランス語圏)の歴史的文化的相克と共存という統合的視点からこの運動を観察することとした。フランドルの心情をフランス語で表現したメーテルランク、ヴェルハーレン、ローダンバックとガン・ブリュージュを中心に芸術活動を展開したフランドルの象徴派イデアリストをとりあげたが、とくに今年度はラーテム・サン・マルタンの芸術家コロニーを調査した。ベルギー象徴派運動において特異な集団として最近注目されるようになったラーテム・サン・マルタンの芸術家コロニーの成立と展開をたどることを目的に、8月6日から16日まで現地調査を実施した。20世紀初頭ジョルジュ・ミンネを中心に、ガン市郊外に形成された、いわばベルギーにおけるこのヴォルプスヴェーデには、詩人カレル・ファン・ウォスティーネとその弟ギュスターヴ、ヴァレリュスス・ド・サレル、アルビン・ファン・デン・アベーレ、さらにアルベール・セルヴェルらが加わり、特異な理想主義的芸術運動を展開した。第一次エコール・ド・ラーテムである。さらにコンスタン・ペルメーケ、グスターフ・ド・スメト、フリス・ファン・デン・ベルへらが第二次を形成する。時流の中心をなす印象主義から遠ざかり、ルイス・ブロークや、メーテルリンクを愛好し、ひたすら自己の内面化を求めるこの運動は、近年特に注目されるようになりガン市美術館には、ラーテム・サン・マルタン派室が特設され、またこの都邑には、19世紀末からのこの運動を遡行顕彰するとともに、新世紀の新たなラーテム・サン・マルタン派コロニーが成立しつつあることを明らかにすることができた。
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