2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12620003
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大江 泰一郎 静岡大学, 人文学部, 教授 (00097221)
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Keywords | 法外的秩序 / 非法 / ロシア / 法文化 |
Research Abstract |
今年度は研究期間(平成12年度〜平成13年度)の第1年度に当たり、とくに(1)研究資料の収集に力を入れたほか、(2)研究課題にかかわるロシア法史の概観的見取図を著書(共著)において発表し、また(3)国内・国外の当該研究課題に関連した既存の研究成果の摂取につとめ、その一部を書評論文として発表した。 (1)東京大学法学部図書館「ノイベッカー文庫」所蔵のものを中心に19世紀のロシアにおけるいわゆる「農民慣習法」関係の資料を複写・収集することができた。また、この「農民慣習法」については、近年邦訳刊行されたマックス・ウェーバー『ロシア革命論』全2巻の詳細な原注により、ウェーバーがこれを、私が年来主張してきたように非法的(法外的な)倫理規範にすぎないものと見なしていることを確認しえた。なお私の「レヒト型」および「レグルマン型」法秩序というウェーバー理解も、同書第2巻の肥前栄一教授ほかの邦訳者たちによって支持されたことを知り、研究の方向について自信を深めた。 (2)この間に刊行した著書(共著)により、19世紀〜20世紀のロシアの社会秩序がどのような歴史的経緯により、広範な「法外的秩序」を抱え込むようになったかについて、さしあたり外観的な見取図を提示した。この著書の元になったのは1998年に発表した歴史学界の雑誌に掲載されたものであるが、読者の好意的な評価を得て、この共著書に補訂・収録されたものである。 (3)国内の関連研究成果についての私の批判的論評は、後掲の「11.研究成果」に示す書評2篇として公刊してある。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 大江泰一郎: "〔書評〕木下毅著『比較法文化論』と対話する"社会体制と法. 創刊号. 97-103 (2000)
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[Publications] 大江泰一郎: "〔書評〕塩川伸明著『現存した社会主義-リヴァイアサンの素顔』"ユーラシア研究. 第23号. 70-73 (2000)
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[Publications] 歴史学研究会編(共著): "紛争と訴訟の文化史"青木書店(東京). 458 (2000)