2000 Fiscal Year Annual Research Report
近世の隠居に関する総合的研究-17-19世紀日欧比較性史の前提-
Project/Area Number |
12620016
|
Research Institution | Kanto Junior College |
Principal Investigator |
高木 侃 関東短期大学, 商経科, 教授 (40099198)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長沼 行太郎 関東短期大学, 国文科, 助教授 (20228042)
鹿倉 秀典 関東短期大学, 国文科, 助教授 (40206066)
|
Keywords | 隠居面(免) / 遺言状 / 老親扶養 / 隠居家 / 隠居部屋 / 孝の観念 / 老人観 / 文学にみる居住空間 |
Research Abstract |
本テーマの具体的目的は、江戸時代の庶民における「隠居の観念・法・実態」をさまざまな観点から、明らかにすることである(勿論、武家のそれにも論究するが、主体は庶民)。そして近世法のありようと隠居契約のさまざまな実態を解明することである。 また、研究分担者鹿倉は、近世文学、とくに歌舞伎・浄瑠璃の底本(台本)の優れた研究者であるから、いわゆる孝の観念、あるいは当時の老人観を、改めて文芸作品から検証し、さらに研究分担者長沼は、近代文学、とくに鴎外の優れた研究者であるが、孝の観念の変容を通して、近世を鮮明にし、隠居の待遇(家族関係)を居住空間との関連でとらえ、近世との比較を試みる。そして総合的な隠居研究に資することである。 今年度の研究代表者の具体的作業は、隠居契約に関する地方(村方)文書を多数収集することである。対象の古文書である隠居契約は、代表的な隠居面(免)証文・遺言状さらに、その他の隠居契約証文である。そしてこの種の隠居契約証文は、すべて地方文書によってはじめて知ることの出来る性格のものだからである。そこでアンケートを実施する前に、関係資料の残存につき大雑把な状況を把握するために、図書館(活字資料をみる)、各県市町村史編纂室、文書館などを訪問した。意外にそれらが少ないことが判明した。分担者鹿倉は、歌舞伎役者の隠居に関する資料収集に努め、分担者長沼は、近代住居の模範となったアメリカの住宅事情を実見するためにニュウヨーク・ボストンに出張した。 今年度の実績として論文に結実した具体的業績はないが、今年度を踏まえ、アンケートの実施などを行い、確実な資料収集につなげたいと思う。
|
-
[Publications] 高木侃: "<資料>『三右衛門日記』の離緑状関連史料"関東短期大学紀要. 45集(予定). 16 (2001)
-
[Publications] 鹿倉秀典: "長唄正本研究(212)〜(223)"邦楽の友. 538-547号. 60-63or64 (2000)
-
[Publications] 鹿倉秀典: "「読書算用」と「コンピュータ・リテラシー」"日本文学. 49・10. 75-76 (2000)
-
[Publications] 高木侃: "『江戸の真実』の内「三下り半の真相」p.278〜291"宝島社. 305 (2000)
-
[Publications] 鹿倉秀典: "『日本文芸思潮史論叢』(大野順一編)の内「江戸長唄研究序説」48頁"ペリかん社. 305 (2000)