2000 Fiscal Year Annual Research Report
「司法改革」実現のための基盤整備に関する公法学的アプローチ
Project/Area Number |
12620017
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
木佐 茂男 九州大学, 大学院・法学研究院, 教授 (30122039)
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Keywords | 司法改革 / 法教育 / 法的思考 / 法的行動 / ロー・スクール |
Research Abstract |
本研究テーマそのものに極めて近い問題意識をもった雑誌の特集号が、『月刊司法改革』2000年12月号、『自由と正義』(日本弁護士連合会)2001年2月号において、法教育に関する特集という形で組まれた。このことは、私の本研究における問題意識に照らして、決して偶然ではない。わが国の司法改革が実現する上で、社会の現状はあまりにも法的思考や法的行動から遠いところにあるのであることが、次第に多くの人に認識されるに至ったからといえよう。 私のこの1年間の研究は、転勤に伴い自らの研究環境が完全に変わったことから予定通りには進行しておらず、研究計画にあった海外調査は、時間がないため本年度末に実施するしかなくなった。その意味では、最新の情報に基づく成果の報告はできないが、この間の動向は次のように整理できる。 これまで大学法学部での法学教育あるいは教養課程での法学教育については、近時、ロー・スクール設置問題との関わりも含めて、比較的議論が多いが、それより以下の学校教育や市民教育の場面での法的素養のあり方について、わが国社会の現状と絡めての論述は皆無に近い状態であった。やっと、高校の段階での法的教育について、議論や実践が始まったところである。日本法教育ネットワークの発足も2000年秋であった。ただ、上記の両特集記事も、高校での実践記録などの紹介、高校教科書での司法の記述のあり方などが中心であって、法的思考の土壌の分析、今後のあるべき方向性についての本格的な検討は行われていない。本年度は、こうした最新情報を具体的に当事者から収集するとともに、司法改革の各現場における審議、論議の過程を正確にフォローし、最終年度に具体的で包括的な報告ができるような準備体制を整備するにとどまっている。
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[Publications] 木佐茂男: "改めて日本の司法行政を国際的動向から照射する"月刊司法改革(現代人文社年). 10号. 59 (2000)
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[Publications] 木佐茂男: "新地方自治法の課題・法制度設計とその前提条件"山口二郎編,自治と政策(北大法学部ライブラリー5)(北海道大学図書刊行会). 57-115 (2000)
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[Publications] 木佐茂男: "判例と地方自治"判例地方自治(ぎょうせい). 201号. 6-8 (2000)
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[Publications] 木佐茂男: "法曹-元と裁判官問題"月刊司法改革(現代人文社). 12号. 31-35 (2000)
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[Publications] 木佐茂男: "司法改革と法教育-特集にあたって"月刊司法改革(現代人文社). 15号. 16 (2000)
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[Publications] 木佐茂男: "木佐茂男,佐藤鉄男,須網隆夫,丸田隆,宮澤節生,大出良知(座談会)「検討会議では、審議会の「基本的考え方」は守られるのか」"法科大学院の基本設計(月刊司法改革臨時増刊 シリーズ21世紀の司法改革1)(現代人文社). 52-63 (2000)
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[Publications] 大森彌,石川二三夫,木佐茂男(ほか): "地方分権改革の評価-比較の視点から『地方分権改革』"法律文化社. 71・95 (2000)
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[Publications] Rainer Pitschas/Shigeo Kisa(hrsg.): "Internationalisierung von Staat und Verfassung im Spiegel des deutschen und japanischen Staats-und Verwaltungsrechts"Berlin, Duncker & Humblot (予定). (2001)