2001 Fiscal Year Annual Research Report
現代国家における先住権の具体的実現…アイヌとハワイ先住民の比較的実証的研究
Project/Area Number |
12620018
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Research Institution | HOKKAIDO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
常本 照樹 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (10163859)
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Keywords | 先住民族 / 憲法 / 平等 / ハワイ |
Research Abstract |
本研究は、わが国固有の事情に適合した先住民族の権利実現の具体的モデルとなる事例を検討することを目指したものである。具体的には、アメリカ本土48州において確立している先住民法制の適用を受けておらず、合衆国政府から正式に先住民族としての認定を受けていないという点でハワイ先住民とアイヌ民族に近似性があるとの認識に基づき、ハワイ先住民の法的地位およびそれに関する法制度を調査・検討した。とりわけ、2000年2月にでた合衆国最高裁のRice v. Cayetano判決によってOHA(ハワイ先住民局)の理事選挙における選挙権を先住民に限定した州法が合衆国憲法第15修正(選挙権の平等)に違反するとされたことに注目し、その判決の意義・射程を検討するとともに、OHAを中心に実施されている先住民を対象にしたプログラムを調査・検討した。また、現在のハワイ先住民に関する法制度が、深く歴史に根ざしたものであるため、ハワイ王国建国前後からの法制史を調査した。 この研究の結果、合衆国法によって先住民族との認定を受けなくても、合衆国憲法の平等保護条項に違反することなく先住民としての権利を保障することは必ずしも不可能ではないことを認識するに至った。アメリカにおいては、まさにこの考え方がRice事件において争われたと見ることができるが、ロジックとして成立しうるとすれば、あとは政治的決断の問題である。そうであるならば、その政治的決断を導く要因は何か、が次に探求されるべき課題となろう。ハワイにおいては1974年の州憲法改正においてこの決断が積極になされ、Rice判決以後、この決断が消極になされそうな気配が見える。この両者を比較して考究することで、ハワイと同様に多数者に対する経済的利得という事情の無い日本において、憲法に抵触することなく先住民族の権利を保障する方途が見えてくるはずであるとの着想を得た。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 常本 照樹: "ハワイ先住民の現在とアイヌ民族(前編)"季刊アイヌ文化. 13号. 4-6 (2001)
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[Publications] 常本 照樹: "ハワイ先住民の現在とアイヌ民族(後編)"季刊アイヌ文化. 14号. 4-6 (2001)
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[Publications] 常本 照樹: "Rice v. Cayetano"アメリカ法. 2001-1. 202-207 (2001)
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[Publications] 常本 照樹: "ハワイ先住民の法的地位:その歴史と現状"国立民族学博物館研究報告別冊. 23号. (2002)