2001 Fiscal Year Annual Research Report
「日本国憲法と極東委員会」問題の米国所在資料に基づく再検討
Project/Area Number |
12620027
|
Research Institution | Ishinomaki Senshu University |
Principal Investigator |
笹川 隆太郎 石巻専修大学, 経営学部, 教授 (80215706)
|
Keywords | 日本国憲法制定史 / 極東委員会 / SWNCC / マッカーサー / GHQ / 日本占領 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本国憲法の成立をめぐる、極東委員会、マッカーサー司令部、ワシントンの三者間の駆け引きの全体像を可能な限り明らかにすることである。 すでに、昨年度に米国のNational Archives II等で収集した資料と、それ以前に収集しおえていた資料をあわせ、上記の三者間関係については、そのおおよその全体像はつかむことができたが、本年度はそれらの資料の整理と分析を進めながら、更に行間を埋めるに必要な資料の発見、収集に努めた。 そのため、昨、平成13年8月5日から同9月10日までの三十数日間にわたり、米国各地の資料館で調査にあたった。小規模な資料館では研究員の夏期休暇と重なり利用できなかったところもあったが、おおむね予定通りの調査ができた。今回訪問した先は、次の諸施設である: スタンフォード大学フーヴァー研究所(カリフォルニア州) トルーマン大統領ライブラリー(ミズーリ州) アイゼンハワー大統領ライブラリー(カンザス州) National Archives II(メリーランド州) Library of Congress(ワシントンD.C.) G・マーシャル元帥ライブラリー(ヴァージニア州) それぞれの資料館で、興味深い資料を見つけることができた。中でも特に、総司令部民政局と米国陸軍省との連絡役を特定する重要な手掛かりとなる資料の発見は重要である。 帰国後も、鋭意資料の整理分析に努めたが、一時、体調を損ね入院手術をしたこともあり、当初予定していた、関係論文の本年度における発表は見合わさざるを得なかった。しかしながら、次年度には、従来、極東委員会とマッカーサー司令部との二面関係として平面的にとらえられてきた日本国憲法制定(新憲法の実現)に関するこの国際関係的側面を、米国陸軍省を中心としたワシントンの政策中枢を含めた立体的な三面関係としてとらえ直すという、本研究の当初の課題を十分に達成する研究成果を発表できる見通しがついたことを報告しておきたい。
|