2000 Fiscal Year Annual Research Report
当事者間の特別の法律関係と法定債権の間の国際私法上の性質決定問題
Project/Area Number |
12620038
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
国友 明彦 大阪市立大学, 法学部, 教授 (20178015)
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Keywords | 国際私法 / 法性決定 / 性質決定 / 附従的連結 / 法定債権 / 契約外債務 / 特別の法律関係 / 当事者利益 |
Research Abstract |
10月16日に国際私法学会第103回大会において「当事者間の法律関係の抵触規則と法例11条の間の法性決定に関する若干の問題」と題する報告を行なった。この報告は、主として二つの問題、すなわち、契約締結上の過失責任の国際私法上の性質決定、および、不当利得と基本関係の間の国際私法上の性質決定問題をとりあげたものである。これらは以前に発表した研究に、その後の若干の研究を加えたものである。新たに加えられた研究の主要なものとしては、第一に、1999年改正ドイツ民法施行法における不法行為の附従的連結の研究がある。ここにいう附従的連結は、不法行為などの問題を当事者間の特別の法律関係(契約、家族法上の関係等)の連結点によらしめようとするもので、法性決定の方法ではないが、機能的に見ればそれはその問題を特別の法律関係の問題と法性決定するのと非常に類似しているので、ここでとりあげた。第二に、法例7条と11条の適用関係について1998〜99年に公表された道垣内説の批判的検討がある。 その後、最近の外国国際私法判例・学説・立法における附従的連結についての研究を続行している。例えば、ドイツでは、最近の二つの連邦通常裁判所[BGH]の判例につき議論がある。すなわち、第一の判例(BGH1992年7月7日判決)は、自動車の同乗者たる家族に対する交通事故についての不法行為責任について、家族関係への附従的連結を否定した。第二の判例(BGH1996年2月28日判決)は、婚約が詐欺によることを理由に解消された場合の不法行為責任について、婚約の準拠法への附従的連結を否定した。これらの判例をめぐる学説について研究した。その他、連合王国、ケベック等の新立法における附従的連結についても研究した。 これらの研究につき、国際私法年報に寄稿する。現在、その原稿を執筆している。
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