2001 Fiscal Year Annual Research Report
市場のグローバル化に伴う主権機能の変質と日本の労働力再生産過程における公益確保
Project/Area Number |
12620039
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
太田 育子 広島市立大学, 国際学部, 助教授 (10211103)
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Keywords | グローバリゼーション / 日本 / 福祉国家政策 / ジェンダー / 資本主義的家父長制 / 家事労働 / アンペイド・ワーク / 商品化 |
Research Abstract |
昨年(平成12年)度の研究成果から、日本の福祉政策のパラダイム転換(1995年7月の社会保障制度審議会勧告『社会保障体制の再構築』)に際し、「市場のグローバル化」における女性の無償労働問題を検討する場合には、(1)地球規模の資本主義的家父長制のなかでの位置づけ、および(2)無償労働を有償化(商品化)することに伴う問題群の把握、が必要であることが明らかとなった。 そこで今年(平成13年)度は、(1)について、「日本社会の福祉政策において、女性の家族内の無償労働が推奨されてきた原因は、資本主義的家父長制のみに求められるのではなく、取引費用と機会費用を削減する社会保障制度網が構築されてきたことにあった」点を、社会心理学者・山岸俊男氏の「安心と信頼」に関する研究成果も踏まえ考察し、"Reorganizing Welfare Policy in Japan : Self-determination and General Trust in a Collectivist Culture"と題する論文にまとめ、International Association for Philosophy of Law and Social Philosophy (IVR), the Asian Branch主催のThe 4th Conference on Asian Jurisprudenceにおいて報告した。 また今年度は2回(うち1回は職免・私費出張)Stanford Law Schoolに赴き、Margaret Radin教授に研究の進捗状況を報告した他、政治哲学に関しDebra Satz教授と、またフェミニズム法学に関しDeborah Rhode教授と協議を行い、関連の資料も収集した。特にAmerican Bar AssociationのCommission on Women in the ProfessionによるBalanced Lives Projectに関する貴重な情報を得ることができた。
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Research Products
(1 results)