2000 Fiscal Year Annual Research Report
テレビ会議システムによる法律相談・弁論準備の諸問題
Project/Area Number |
12620045
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
菅原 郁夫 千葉大学, 法経学部, 教授 (90162859)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 達哉 福島大学, 行政社会学部, 助教授 (90215806)
|
Keywords | テレビ会議システム / 民事訴訟 / 弁論準備手続 / 法と心理学 / 争点整理 / 法律相談 / 対人評価 / 心理学実験 |
Research Abstract |
本年度は,本研究のテーマであるテレビ会議システムを用いた法律相談と弁論準備手続の諸問題の検討のうち,とくに弁論準備手続の有用性や問題点を探るべく模擬実験を実施した.実験は,同一のシナリオに基づき原告,裁判官が実験補助者,被告が被験者となる設定のもと,一方の被験者集団はテレビ会議システムを用い(福島大学とソニー品川ショールームと結んで実施),他の被験者集団は通常の弁論準備手続と同様に原告,被告,裁判官が対面で手続をすすめるといった形で行われた.テレに会議システム条件の被験者と対面条件の被験者の評価の平均を比較することによって,テレビ会議システムと,直接対面の場合とで被験者の相手方や裁判官に対する印象,手続の評価などが異なるか否かを検証した.その結果によれば,テレビ会議システムを用いたほうが,緊張感や強恐怖心は和らぐが,反面,裁判官への意思がうまく伝わったかの評価では,テレビ会議システムを用いた場合の評価かが低いなどの問題点も見出された.とくに態度や性格の伝達にはテレビ会議システムを用いた場合は支障が大きいことが示された.このような結果は,相手側弁護士の評価にも見られ,テレビ会議システムの情緒的要素に関する伝達能力の低さが明らかになった.今後は,これらの結果が,弁論準備手続の実施にどのような意義をもつかを検討する予定である. なお,次年度は,これらの成果も踏まえたうで,テレビ会議システムによる法律相談についての考察を行う予定である.
|