2000 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツにおける外見的独立営業者(Scheinselbstandige)の法的地位
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12620066
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
西谷 敏 大阪市立大学, 法学部, 教授 (70047314)
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Keywords | 外見的独立営業者 / 労働者(概念) |
Research Abstract |
本研究の目的は、外見的独立自営業者に関するドイツの法理論、法政策に関する最近の成果を吸収し、日本における法理論、法政策の発展に寄与することにある。 2年計画の初年度にあたる平成12年度には、まず本研究に関する日本およびドイツの関連文献を収集し、アルバイトにも手伝ってもらって整理した。それを通じて、この問題が日本においてまだ十分に紹介、検討されていないこと、これに対して、ドイツにおいては、法理論、立法政策問題を含めて、かなり大量の研究が存在することが確認された。とくに、1999年1月から外見的独立自営業者が労働者保険制度の適用を受けることとなったが、実際にあまりに多くの問題が生じたため、2000年の「自営業促進法」によって再整理されたという経過があり、この経過に関連して多くの研究が公表されている。 平成13年2月末から8日間、ドイツ・ハーゲン大学のマルチュケ講師の助力を得て、ドイツにおいて聞き取り調査を行った。労働法に造詣の深いマルチュケ講師のほか、労働組合代表、使用者団体関係者から行った聞き取り調査において、次のことが明らかになった。ドイツにおいても、日本と同じく、実質的に労働者とみなされるべき者を人件費節約の観点から外見的独立自営業者の形で使用する場合が多いこと、これに対して法は、とくに社会保険の適用に関してさまざな対策を講じてきたが、主として労働者概念確定の困難さに起因して、問題はなお根本的には解決されていないことなどである。
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