2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12620067
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
村山 眞維 千葉大学, 法経学部, 教授 (30157804)
|
Keywords | 刑事訴追 / 起訴裁量 / 検察官 / 日仏比較 / 比較研究 |
Research Abstract |
フランスでは予審判事の仕事を中心に調査を行ない、日本でもそれに対応する調査を行なった。 フランスの予審判事は重罪事件と複雑な軽罪事件の捜査を行なう。予審判事は警察を指揮して捜査を進め、事件の最終判断に必要な証拠書類を作成することをその職務としている。仕事の進め方は被疑者不詳かどうかによって異なる(多くは判明している)。被疑者不詳の場合、できることは少ない。被疑者が判明すると、警察による逮捕の後、被疑者を裁判所に引致して取調を行い、被疑者を勾留すべきかどうかの判断をする。この最終的決定は、2000年7月の法律で、特別の勾留裁判官によって行なわれるようになった。これは糺問主義の原則に基づく刑事手続に英米法的な要素を取り入れたものと理解されており、今後の運営が注目される。予審判事は、その後凡そ1年から1年半位の間に、被疑者、被害者、関係者の取調を行い、科学的鑑定書も作成される。この長期間に亘る仕事は、事件が犯罪になるかどうかを判断するための書類作成が中心であり、事件の実体についての実質的な調査手続である。この後に行われる公判では、新しい証拠の提出は原則として予想されておらず、公判は、予審判事の捜査結果を社会に公開し、それが納得するに足るかどうかを最終判定する手続であると言えよう。英米法における公判とは非常に異なると言える。 わが国では戦後予審判事を廃止した。強いて類似した制度を挙げれば地検特捜部であるが、そこでは捜査は警察とは独立に行なわれる点で、フランスの予審判事とは大きく異なる。通常の事件では警察が検察官から独立に捜査を行なうこととなっているが、実際には両者の間で様々な連絡が取られており、その相互作用の中で検察官と警察官がどのように振舞っているかに、戦前からの制度的伝統と戦後の制度的変化双方の影響を見ることができる。これは弁護士の弁護活動についても同様である。
|