2000 Fiscal Year Annual Research Report
「対抗文明」としての「大東亜共栄圈」の政治経済学的・外交史的研究
Project/Area Number |
12620074
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 正孝 北海道大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (20222292)
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Keywords | 大東亜共栄圏 / アジア主義 / 汎アジア主義 |
Research Abstract |
初年度である12年度はまず、英国で収集した公文書館やイングランド銀行等の史料を分析に耐える形に整理することを始めたが、膨大なため整理作業は6割程度しか進まなかった。平行して史料の分析を始めたが、その作業も5%程度しか進んでいない。 これと平行して、英国側史料から得られた視角によって浮かんできた日本の「アジア主義」の実態が如何なるものであったかを検証するために、外交史料館、国会図書館新聞資料室、紡績協会、東洋紡資料室、神戸大学経済経営研究所新聞記事文庫、近畿大学、大阪大学経済学部等において資料を収集し、それらの整理も開始した。 これら史料から当面得られたイメージの大まかな鳥瞰図をまとめるために、英国で作成したメモを参考にしながら、「『大英帝国』から見た『大東亜共栄圏』--『汎アジア主義』と大連・神戸・天津」と題する研究会報告を、北海道大学政治研究会(1月19日)、東京大学政治史研究会(1月27日)において行い、議論から多くを学んだ。また、関連する先行業績や活字史料を広く検討すると共に、隣接分野を研究している来日中のアントニー・ベスト(英国LSE)、王建朗(中国社会科学院)、林満紅(台湾中央研究院)らを北大に招き、本研究に関して大いに議論し、情報交換を行った。 これらの作業を通じて、「大英帝国」は自らのアジア植民地支配を脅かす存在として「汎アジア主義」を強く警戒していたこと、実際に満州事変後の日本で「アジア主義」(実際には「汎亜主義」と「東亜主義」に分けられる)が対外的にも国内的にも大きな役割を果たしたこと、それらは貿易摩擦・アジア通商網再編等の経済問題と深く結びついていたこと、などが具体的な政治史的文脈の中で明らかになった。
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Research Products
(1 results)