2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12620081
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中園 和仁 広島大学, 大学院・国際協力研究科, 教授 (40164206)
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Keywords | 「一国・二制度」構想 / 香港 / 台湾 / マカオ / 米中関係 |
Research Abstract |
平成12年度においては、研究テーマに関する資料収集を中心的に行った。まず、書籍については、「一国・二制度」構想の理論的枠組みに関する論文を中心に収集した。これにより、中国の香港・マカオに対する基本姿勢だけではなく、台湾問題についての基本方針を明らかにすることが可能になった。ついで、海外での資料収集にも着手し、香港の中文大学亜太研究所、および米国の国立公文書館を訪問した。香港では、2000年9月に、返還後二度目の立法会選挙が実施されたが、資料の収集とともに、選挙の動向についても観察した。選挙結果は、いわゆる民主派と呼ばれる勢力が苦戦を強いられたのに対し、親中派政党が党副主席の腐敗スキャンダルにもかかわらず、勢力を拡大した。香港の住民に高度の自治を認めた「一国・二制度」構想は大枠では機能しているものの、返還前と比べて、規制により言論・集会・宗教の自由が脅かされるようになり、最高裁判所が判決が政府によって覆されるという事態も生じている。台湾がこの構想に基づいて、統一の話し合いに応じるは難しいように思われる。そして、中文大学亜太研究所では、日本で入手困難な雑誌・新聞などの閲覧を行った。また、米国では、メリーランド州にある国立公文書館を訪問し、台湾問題をめぐる米中関係に関する資料を閲覧した。中国の国家統一の最終目標である台湾の問題は、結局米中関係の問題となる。米国の台湾への武器売却は「一国・二制度」構想の大きな障害となっており、今後も大きな問題となる可能性が高い。滞在期間が短かったために、資料を十分に収集できなかったが、次回の訪問に期待したい。
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