2001 Fiscal Year Annual Research Report
「コーカサス地域における民主化過程の比較研究」―分離主義の中の国家建設と市民社会―
Project/Area Number |
12620091
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
西村 めぐみ 二松学舎大学, 国際政治経済学部, 助教授 (50287562)
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Keywords | コーカサス / 比較政治 / 民主化 / 国際政治 / 国際機構 |
Research Abstract |
本年度は、引き続き、基礎データを収集すると当時に、研究の主要な部分について専門家のレビューを受けた。より詳細に述べると、平成13年8月末から9月上旬には、アゼルバイジャンで、約3週間、一次資料の収集、聞き取り調査を行い、現地の大学関係者と有意義な意見交換をすることができた。また平成14年3月末には、アメリカのニューオリンズで開催されたInternational Studies Associationの年次大会のパネルで主要な理論部分の発表を行い、参加者のレビューを受けた。その他都内での小規模な研究会でも、本研究にかかわる発表を行い専門家の講評を受けた。また本研究の事例の主要な部分については、ヨーロッパの地域研究の専門誌に英語とロシア語で発表した。 本研究は、現在がまだ研究途上であるが、上記の研究発表を行う際に、コーカサス地域になぜ民主化の集合行動がおこらないかという点を中心的な課題として考察をした。現時点での仮説として、国際社会の時に矛盾して民主化へのコミットメント、国家制度の問題、過度に分極化した市民社会の問題等を指摘したいと考えている。そうして従来の「民主化の第三の波」といった議論が、必ずしも地域の実情を十分に反映していないことを指摘しておきたい。さらに従来の国際関係論の視点から見た民主化論議は、国内制度や市民社会の状況を十分議論していないのに対して、比較政治学の観点から見た民主化の議論は、国際的な影響を十分考慮していないと思われるため、この両者を何らかの形で統合的に考えるようにしていきたいと思っている。
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