2002 Fiscal Year Annual Research Report
コーカサス地域における民主化過程の比較研究―分離主義の中の国家建設と市民社会―
Project/Area Number |
12620091
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
西村 めぐみ 二松学舎大学, 国際政治経済学部, 助教授 (50287562)
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Keywords | コーカサス / 比較政治 / 民主化 / 国際政治 / 国際機構 |
Research Abstract |
本年度も引き続き基礎データを収集すると同時に、研究の進行した部分については、順次、雑誌、専門図書に投稿し、専門家のレビューを受けている。また平成14年8月末から9月上旬にかけては、ロンドンで、コーカサスに関する資料を多く集めた研究所や大学の図書館で資料の収集を行い、専門家の意見の聴取を行った。また現在、本研究を、研究図書として出版するために、その一部分の章を書き上げた。 本研究は、現時点ではコーカサス地域になぜ民主化の集合行動がおこらないかという点を中心的な課題として検討している。昨年度は国際社会の矛盾したコミットメント、国家制度の問題、過度に分極化した市民社会の問題等を指摘した。今年度は、コーカサス3か国に対する先進国の対応の相違、国内情勢の相違等についてさらに詳しく調べた。その結果、先進国では民主化が進んだとみなされるグルジアにおいても、内戦に勝利したとされるアルメニアにおいても、内戦とそれに伴う経済的貧困は、民主化について否定的な影響を与える要因であることを明らかにした。また昨年度は、国際関係論や比較政治学の観点から研究を行ったが、今年度はさらに内戦の終結論についての研究も加味して分析を行った。そして内戦後の地域での民主化には、少なくとも、経済的利益から紛争当事者の和解を主張する重要な国内勢力が必要なことを論じた。
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