2001 Fiscal Year Annual Research Report
北アイルランドにおける和平プロセスと権力分有方式による合意形成に関する研究
Project/Area Number |
12620103
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
南野 泰義 立命館大学, 国際関係学部, 助教授 (60268141)
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Keywords | 北アイルランド / ナショナリズム / ユニオニスト / リパブリカン / 合意形成 / 和平プロセス / 権力分有 / テロリズム |
Research Abstract |
研究の目的は、北アィルランドの和平プロセスにおける合意形成過程とその手法についての研究を通じて、武力行使をともなう紛争を予防、回避、そして平和的手段によって解決し、さらに長期的展望として公正で共存可能な民族間関係を構築していくための原則と政策形成の方法を開発することにある。 平成13年度は、(1)この2年間の研究の成果をまとめることに重点を置いた。(2)北アイルランドにおける合意形成を構築する方法に関する分析の第1段階として、合意形成の手法としてのパワーシェアリング(権力分有)の力向性と権力分有方式を実体化する北アイルランド地方政府選挙について、その単記移譲式(STV)の選挙方式の有効性と問題点を地政学的な視点を活用しながら分析し、1998年地方議会選挙以後の諸勢力の勢力配置を明らかにした。 (3)2001年7月から8月にかけての和平プロセス危機の政治的な背景を明らかにするとともに、武力解除問題を中心に、ユニオニスト陣営における合意形成システムの分析を行なった。(4)3月10日から19日にかけて、北アイルフンド・ベルファスト西地区(カトリック系居住地)を訪問することより、ナショナリスト系住民組織の関係者にインタビューを実施し、1998年の地方議会成立以後の現地状況について調査を実施し、ロンドン大学のブレンダン・オリアリ教授をはじめとする英国民族・ナショナリズム学会(ASEN)のメンバーと研究成果について討議を行なう予定である。 平成14年度以降も、本科学を継続し、8月にはベルファストにおいて、政治団体や民間支持団体、地域の住民組織や人権団体に対する聞き取りなどの現地調査を行なう予定である。このデータをもとにして、諸勢力の支持調達やその戦略、和平プロセスの中での位置などを明らかにし、和平にむけた合意形成のあり方をめぐって閉塞状況にある和平プロセスを打開する方向性と方策を研究していく。
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Research Products
(1 results)