2000 Fiscal Year Annual Research Report
国境・領土紛争の比較研究-ロシアとウクライナ、中国、日本-
Project/Area Number |
12620105
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
木村 汎 国際日本文化研究センター, 研究部, 教授 (80001767)
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Keywords | ロシア / ウクライナ / 中国 / 日ロ / 国境 / 国境画定 / 領土紛争 |
Research Abstract |
1.研究の経過:本学年度は、主としてロシアと中国との間の国境画定交渉の研究に専念した。まず、1988年7月、99年9月における計2回にわたる中ロ国境地帯への調査旅行の折の日記、インタビュー、蒐集資料を丹念に読み返した。次に、それと先行研究者や類似のテーマを研究している人々の調査・分析と比較する作業をおこなった。2001年1月における北大スラブ研究センターでの岩下明裕助教授との討論も有益だった。同助教授は、私が現場調査旅行をおこないえなかった1〜2の中ロ国境地点へも足を踏み入れている世界でも稀な研究者である。 2.研究上の検討点:専門家のなかで見解の相違があり、私も未だ確信をもちえないのは、次の2点である。(1)中ロ国境交渉は、果たして何%くらい解決され、逆にまだ何%未解決なのか? ボリショイ・ウスリースキー島、タラバオフ島、アルグン川のボリショイ島-これら3つが棚上げとなっていることは、周知の事実である。その結果、中ロ国境紛争の97%(中国の石〓)、98〜99%(ロシアのA・プシコフ氏)、100%(ロシアのステグニー氏)が解決されたとみる見方の他に、同紛争の重要部分は棚上げされたままという見方がある(米のローズマン氏)。(2)ロシア連邦の沿海地方やハバロフスク地方の知事たちが、当初中国に多くの島嶼を割譲することに猛烈に反対したにもかかわらず、結局モスクワと北京の中央政府の決定に従うこととなった理由。 3.日ロ間の北方領土紛争への教訓:中ロ間での国境線画定を日ロ間のそれに自動的に適用させる試みは、間違いを犯す。だが、次の三点は、参考に供しよう。(1)国境紛争は、国際法の原則に仕上がって解決されるべきこと。(2)国境画定交渉の成功が、当該国家関係全般の改善と関連していること。(3)経済的要素が政治・外交交渉に与える影響の正確な測定の必要。(4)地元の反対の過小評価ならびに過大評価の戒め。 4.次年度の計画:次年度はロシア-ウクライナ間及びロシア-ドイツ間のカリーニングラード問題を検討する予定。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] KIMURA,Hiroshi: "Japan-Soviet Political Relation from 1976-1983"Japan and Russia : The Tortuous Path to Normalization, 1949-1999. St.Martin Press. 87-106 (2000)
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[Publications] KIMURA,Hiroshi: "Island Apart"Look Japan. 46,539. 6-15 (2001)
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[Publications] KIMURA,Hiroshi: "Japan as a Model for Russia"Japan Review. No.12. 41-73 (2000)
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[Publications] 木村汎: "プーチン主義とは何か"角川書店. 211 (2000)
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[Publications] KIMURA,Hiroshi: "Japanese-Russian Relations under Brezhnev and Andropov"M.E.Sharpe. 335 (2000)
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[Publications] KIMURA,Hiroshi: "Japanese-Russian Relations under Gorbachev and Yeltsin"M.E.Sharpe. 355 (2000)