2000 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀社会主義経済体制の崩壊とその将来的含意に関する理論的実証的研究
Project/Area Number |
12630003
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
青木 國彦 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (70004207)
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Keywords | 社会主義 / 資本主義 / 経済体制 / ソ連 / 東欧 / 中国 / ベトナム / 体制転換 |
Research Abstract |
20世紀社会主義経済体制を資本主義に必然的に伴う社会病理に対する実験的ではあるが19世紀的であった療法とみなす立場から、その体制の存在の経緯と崩壊原因を現時点のレベルにおいて再考することが本研究の目的である。 来るべき知識社会的資本主義はポスト社会主義でもあり、ポスト社会主義とは、社会主義崩壊の影響があるとともに社会主義崩壊の教訓を生かすべき社会でもあって、そうしたポスト社会主義という特性が、21世紀に、つまり生産力のあり様が産業社会から知識社会に大きく変わる中で、どのような含意を持つかが問題である。そうした将来的含意を探る目をもって20世紀社会主義経済体制の経緯と崩壊原因を再考すべきだと考えている。 社会主義体制崩壊の引き金及びプロセスはソ連東欧と東アジアにおいて共通性とともに大きな相違が存在する。前者の多くの国においては自由な人権の要求が、後者(及び前者の一部も)においては上からの経済的自由の付与(経済的欲求の解放)が引き金になった。前者の一部については支配的エリート層が経済的支配の維持と拡充のために体制転換を選択したとの説もある。後者では経済的自由化が民主化を伴わないのはなぜかも大きな問題である。いずれの点についても事は人間の本性(利己心、連帯心、認知願望等)と関わっていると考えざるをえない。その意味では最近の脳神経科学など他分野の成果も参照されなければならない。本年度は、関係資料を収集するほか、この種の問題についての関連領域の諸文献及び関係諸学会等における考察に学ぶとともに、ベトナムに出かけて実情を調査観察した。結果を取りまとめるまでにはまだいたっていないが、本課題の目的達成に向けて基礎となる研究を行うことができた。
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