2001 Fiscal Year Annual Research Report
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12630023
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
栗山 規矩 東北大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (50004205)
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Keywords | 情報化投資 / 生産性パラドックス / 産業連関分析 / コブ・ダグラス生産関数 / アンケート調査 / 生産性分析 / 人的資本 / 企業組織 |
Research Abstract |
(1)平成12年度の研究を発展させ、産業連関表と固定資本マトリックスを使って27産業の付加価値額、一般資本ストック、情報関連資本ストックを推計し、クロスセクションデータ・パネルデータを使って、付加価値を被説明変数とするコブ・ダグラス生産関数を推計した。新たに、情報関連資本の生産弾力性が情報化の進展と共に増加していること、製造業の情報関連資本弾力性の伸びが非製造業に比較して大きいこと、製造業の規模の経済を改善するのに情報化が貢献していることが明らかとなった。 (2)平成12年度の研究を発展させ、情報技術が産業構造に与えた効果を投資の効果を含めて産業連関分析によって検討した。83産業をIT産業、情報通信サービス産業、情報支援財産業、非情報物財産業、非情報サービス業の5グループにに分類した。 投資も含めたIT産業の内部乗数1.36(投資を除くと1.29)(1995年)は物財産業の1.64(投資を除くと1.57)より小さいが、その増加幅は0.11(物財産業は-0.19)と大きく、ITは日本経済の牽引役を担う可能性のあるグループ゜と考えられる。IT産業は、投資効果を考慮すると、情報通信サービス業、非情報通信サービス業との結びつきをより強めている。 (3)平成12年度に実施したアンケート調査の結果を分析した。調査のねらいはIT投資が企業価値の創出や生産性向上にどのような効果を持つかを、意思決定、情報関連費用の管理・評価方法、従業員のスキルとの関連で明らかにすることである。日米の先行研究と同様に、回答企業に対して、付加価値、労働投入量、資本ストックを有価証券報告書から作成し、コブ・ダグラス生産関数を推計した。その結果情報化投資と人的資本との相互補完的な関係は、日米いずれにも認められる。しかしIT化・人的資本と企業組織との関係は、本調査では米国および企画庁の結果と逆になった。日本においては、情報化と人的資本は、組織における意思決定のさらなる分権化ではなく、意思決定の集権化と結びつく時、生産性の上昇が期待できる可能性が高いことを示唆している。
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