2001 Fiscal Year Annual Research Report
世界4カ国パネル・データによる女性の結婚・出産・就業選択の実証研究
Project/Area Number |
12630025
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
上田 貴子 早稲田大学, 政治経済学部, 講師 (00264581)
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Keywords | 結婚 / 少子化 / 出生力 / 女子労働供給 / パネル・データ |
Research Abstract |
日本の1993-96のパネル・データについて、20才代後半から30才代前半の最も出生力の高い女性の結婚・出産・就業選択についての動学的選択決定モデル(Dynamic Discrete Decision Model)による推定を行った。推定結果からは以下のような内容が判明した。 (1)就業については、女性はその収入から得られる以上の効用を得ている。効用の推定値はフルタイム就業よりもパートタイム就業の方が大きく、学歴別サンプルによる推定では大卒以上が最も高い。(出産等でいったん退職後)再就職を希望した時にフルタイム職に再就職できる確率は2割前後と推定され、学歴別サンプルによる推定では学歴が高い方が有利になっている。 (2)結婚については、効用は有意に負と推定された。学歴による推定値の差はわずかである。 (3)子供については、子育てコストと効用の総合的推定値として、第1子では有意でなく、第2子では正に有意、第3子以上では負にやや有意である。また、末子が2歳以下の時には追加的なコストが発生している。 (4)上記の推定結果から、結婚して子供2人がいるケースの効用推定値を就業状況別に合算すると、専業主婦でほぼゼロ、就業している場合ではマイナスとなった。ただし、調査票の履歴項目から80年代まで遡ったデータを構築し推定した場合では、就業状況に関わらず正となっている。 以上の結果をDiscussion Paperとしてまとめてセミナー発表・論文投稿等を行い、推定方法等について有益なコメントを得た。以上に基づいて、現在、推定方法の改定作業・日本のデータの2年分の追加・他の国のデタ整理・推定作業を行っている。
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