2001 Fiscal Year Annual Research Report
地球環境への影響を考慮する日本の環境経済勘定の作成と持続可能性に関する研究
Project/Area Number |
12630029
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Research Institution | Toyama University |
Principal Investigator |
増田 信彦 富山大学, 経済学部, 教授 (70019090)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
時政 勗 広島修道大学, 経済科学部, 教授 (40069703)
近藤 康之 富山大学, 経済学部, 助教授 (80313584)
桂木 健次 富山大学, 経済学部, 教授 (50037115)
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Keywords | 環境経済勘定 / 地球環境問題 / 持続可能性 |
Research Abstract |
本研究の目的は,どのような条件のもとで環境や資源を考慮した経済が持続可能になるかという課題に対する一つの方法として,従来の国内を対象とした環境経済勘定を拡張して,地球環境や国際資源への影響を考慮する一国(この場合、日本)の環境経済勘定を作成することにより,より現実的な持続可能性を考察するものである。 今年度の研究実施計画と研究実績は次のようになった。 1.日本が排出する環境負荷物質と輸出入する資源の帰属費用の推計 日本が排出する環境負荷物質の量とその削減コスト,及び輸出入資源の量とその生産コストなどから,地球環境への帰属費用を推計した。ただし,資源の帰属費用の推計方法において議論があるものについて帰属費用の推計の対象から除外している。 2.従来の環境経済勘定体系に地球環境・資源への影響を組み込んだ日本の環境経済勘定の作成 既に推計されている日本国内の環境・経済統合勘定に,日本が排出する環境負荷物質と輸出入する資源の帰属費用を導入することにより,地球環境への影響を考慮する日本の26行27列からなる環境経済勘定を作成した。 3.作成した環境経済勘定と持続可能性の関係の考察 地球環境への影響を考慮した日本の環境経済勘定を1990年と1995年について試算した結果によると,環境調整済国内純生産は依然として増加していることがわかった。このことは,「経済的」持続可能性の十分条件にはならないし,「物的」持続可能性について何も言えないが,ある意味で,「経済的」持続可能性の必要条件を満たしていると言える。 4.環境制約と持続可能な発展の関係の理論的考察 国民所得の測定には二つのアプローチ,すなわちヒックス的所得と国民福祉,があり,環境経済勘定は前者に属しているので,理論的には国民所得の「真」の測度に対する一次近似であり,環境問題を取り扱うには不十分であることを示している。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 増田信彦: "地球環境への影響を考慮する日本の環境経済勘定"第18回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集. 35-38 (2002)
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[Publications] 近藤康之: "廃棄物産業連関表(1995年表)の推計"第12回廃棄物学会研究発表会 報告論文. 1-43 (2001)
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[Publications] Shinichiro Nakamura: "Recycling, Landfill Consumption, and CO_2 Emission : Analysis by Waste Input-Output Model"Journal of Material Cycles and Waste Management. Vol.4, No.1. 17 (2002)
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[Publications] 中村愼一郎: "厨芥処理のLCA:廃棄物産業連関の応用"都市清掃. 54巻241号. 186-191 (2001)
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[Publications] 朱軍: "Exporting-oriented Enterprises and Environmental Management Strategy"富大経済論集. 47巻・2号. 317-337 (2001)
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[Publications] 張宏武: "中国のエネルギー消費と大気汚染の部門別分析"第17回エネルギーシステム・経済・環境コンファレンス講演論文集. 513-518 (2001)