2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630034
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
良永 康平 関西大学, 経済学部, 教授 (90191626)
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Keywords | EU / EU統合 / ドイツ / 産業連関表 / 国際産業連関表 / 地域間産業連関表 / EU統計局 / ヨーロッパ統合経済計算 |
Research Abstract |
本研究は、EU諸国の最新の産業連関表を検討・分析しつつ、70〜80年代だけではなく、90年代までも展望しうるような新たなEU国際産業連関表を作成・分析することを目的にしている。研究2年目にあたる本年度は、1年目に引き続いて90年代の貿易データや各国産業連関表の入手と検討・分析を行った。 現在EU諸国は、新しい国民経済計算である95ESA(ヨーロッパ統合経済計算)へ全体として準拠する作業を進めており、これに伴って産業連関表も各国共通規格のものが作成されている。ドイツやスペイン、オーストリアなどでは既に公表されているものの、多くの国では作成・公表の途上である。これを継続的に入手し、その特徴や比較可能性等を検討する必要があった。たとえば産業部門分類(NACE・rev.1)の改訂や、93SNA同様にソフトウェアが内生部門から外され、固定資本形成に加えられた影響はどうか、また価格評価も従来の生産者価格から基本価格に変更されたが、基本価格によっても従来との比較可能性は維持可能できるか、これらの基礎研究を継続した。その上で、95ESAにいち早く準拠した南欧諸国を中心に、スペイン、ギリシャ、マルタ、ドイツ等の産業連関構造の分析と比較を試みた。たとえば、ドイツの自給自足率は100%を上回るものの、スペインは95%、ギリシャにいたりては85%に過ぎないこと、ドイツやスペインの国内生産は輸出によって20%程度誘発されており、とりわけEU諸国への輸出が13%程度を占めているのに対して、ギリシャでは輸出による誘発は13%程度で、その分、民間最終需要による誘発が54%とかなり大きくなっていること等がわかった。最後に、これらの基礎研究をもとに、EU国際産業連関表の設計を行った。未だ95ESAに準拠した産業連関表が公表されていない国もあるため、実際のデータによる分析は次年度の課題となる。
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