2001 Fiscal Year Annual Research Report
医薬品製造業研究者の研究キャリアとインセンティブ制度の適合性に関する分析
Project/Area Number |
12630052
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松繁 寿和 大阪大学, 大学院・国際公共政策研究科, 助教授 (50219424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇坂 明 学習院大学, 経済学部, 教授 (90158600)
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Keywords | 医薬品製造業 / 研究開発 / 成果主義 / 人事・労務管理 / インセンティブ / 個票データ / 聞き取り調査 / 賃金制度 |
Research Abstract |
13年度は、研究者を対象とする聞き取り調査のパイロットスタディー、アンケートデータの分析および企業内マイクロデータの分析を行った。 製薬企業数社の人事部および研究開発部との議論からは『成果主義』的人事施策が必ずしも意図した成果をあげていないことが明らかになった。さらに入手された企業内情報の分析から従業員の評価を決定する段階で評価者の負担が大きくなることにより、運用により制度の意図が曲げられる可能性があることが明らかになった。 アンケートデータに関しては、研究開発に従事する者と他の職務に従事する者の間で昇進経路や昇進スピードの差だけでなく人事施策に対する評価に関する相違も探った。 昨年度進められた成果主義が賃金・報酬制度と昇進制度および査定に与える影響の統計的分析からは、各人事制度の導入にはかなり確立された順番が見られること、したがって全ての企業が一律に成果主義を導入できないことなどが明らかになったが、その後他の研究者からのコメントを受け統計分析の追加等を行った。改定された論文は2002年6月に労務学会で発表される予定である。 また同時に並行して行われた企業内マイクロデータを使用した研究からは、賃金格差の増大という面においては成果主義が必ずしも効果をあげるわけではないことが明らかになった。この結果は2001年度中にいくつかの研究会で報告された。 また、2002年度は引き続き製薬会杜の研究開発部門における聞き取り調査を行い、その結果をまとめる予定である。
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