2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630056
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
畑 隆 山口大学, 経済学部, 教授 (70192698)
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Keywords | 賃金 / 人事 / 一時金 / 能力主義管理 / 日本的雇用慣行 / 労働組合 / 自動車産業 / 人事考課 |
Research Abstract |
今年度は、トヨタ自動車(株)本社、日産自動車(株)本社、マツダ労働組合本部等を訪問し、貴重なお話を窺うとともに関連する資料をいただいた。他方で、自動車各社の最新のデータ類の入手にも努めた。 具体的な研究業績としては、第一に、トヨタ自動車の事務技術系従業員の人事考課制度を明らかにした論文「B自動車の事技員の人事管理」を公表した。これは前述のトヨタ本社訪問時に公開の許可を得ることができた作品であり、主として1994年時点のその内容を考察しているが、その訪問時にヒアリングした現時点の事技員の人事考課制度にも言及している。 同社では近年、ホワイトカラーの人事・賃金管理の改革に重点がおかれており、技能員以上に能力主義管理が進められている。上記の論文は、これまで研究史上あまり深く考察されていない同社のホワイトカラー管理の重要な部分を解明したという意義を有している。 第二に、今年度は本田技研工業(株)の人事と賃金について考察した小著『自動車産業の人事・賃金と労働組合の賃金政策-C自動車の事例研究-』を執筆した。この著作は1980年代から90年代半ばまでの同社の人事管理と、賃金・一時金に関する労働組合の取り組みを論じた作品である。その中では、これまで社会政策学会で知られていなかった同社の賃金実態等が明らかにされており、また同社の一時金(賞与)の査定が労働組合運動により制約されている点、すなわち同社の能力主義管理に対する組合規制の存在が主張されている。この作品はすでに「山口経済研究叢書」として刊行されることが決定している。 その他、今年度はマツダや協力会社の雇用・賃金管理についても、認識を深めることができた。
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