2001 Fiscal Year Annual Research Report
韓国における経済危機下の構造改革に関する総合的研究
Project/Area Number |
12630060
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
深川 博史 九州大学, 経済学研究院, 助教授 (30199153)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 修 九州大学, 大学院・経済学研究院, 助教授 (40184527)
徳賀 芳弘 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (70163970)
山崎 朗 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (10191248)
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Keywords | 韓国 / 経済危機 / IMF / アジア / 経済改革 / 産業構造 / 構造転換 / 構造調整 |
Research Abstract |
韓国では経済危機を契機に、従来の産業経済構造に関する改革がすすめられた。本研究では、経済危機の分析を基に、改革後の経済構造転換の方向性について検討した。 韓国経済は1997年以降の経済危機に直面して構造調整の段階に入った。経済危機の発生経路は、(1)大部分の財閥が収益性よりも規模拡大を優先・投資の原資を他人資本に依存しつつ事業多角化や事業規模拡大を進めた結果、産業全般の供給過剰問題が発生したこと。(2)アジア全般において、供給力拡大速度が市場拡大速度を上回ったために、韓国企業の輸出拡大による国内問題解消にも限界があったことであり、この結果、97年間1年間で上位30財閥のうち7財閥が倒産するという事態となり、金融不良債権が発生して金融機関の業績が悪化した。さらに、韓国から資本が逃避し、ウォンレートが急落(1$=800w→2000w)して、さらには外貨準備高減少という事態に陥った。デフォルトの危機に直面した韓国政府は、IMFへの支援要請を行い、韓国経済はIMFの管理下に置かれることとなった。韓国政府とIMFの合意内容は、(1)政府の効率性向上、(2)企業経営の透明性確保、(3)労働市場の流動化、の3点であり、これに応える韓国政府の構造改革4分野は、政府改革・金融改革・企業改革・労働改革であった。 本研究グループでは数回の研究会を開催し、経済構造転換の方向性について検討作業を進めた。政府改革では、政府・地方行政組織の改革及び政府系企業の民営化(製鉄・電力)が進められた。金融改革では、BIS基準8%自己資本比率達成や銀行間合併推進・公的資金投入が進められた。企業改革では、ビッグディール(事業構造調整)や財務構造の改善及び国際会計基準導入等が行われた。さらに、労働改革では、整理雇用法の制定、及び労働市場の流動化と労働力のミスマッチ解消が政策的に推進された。これらについては、既に幾つかの研究が存在し、ここでは未開拓の分野に論点を絞って専門的な見地から、改革の最新の状況について分析を加えた。構造転換については、国内にとどまらず国際的影響についても旨及した。
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[Publications] 深川博史: "韓国のガットウルグアイラウンド対策"韓国経済研究. 1(1). 74-89 (2001)
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[Publications] 山崎朗: "日韓海峡産業圏の進展開とロジスティックス"韓国経済研究. 1(1). 42-54 (2001)
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[Publications] 徳賀芳弘: "韓国における会計制度改革とその背景"韓国経済研究. 1(1). 7-26 (2001)
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[Publications] 石田修: "韓国のハイテク貿易の動向と構造"韓国経済研究. 1(1). 56-72 (2001)