2001 Fiscal Year Annual Research Report
地域社会を支える地域交換交易システム(LETS)に関する総合研究
Project/Area Number |
12630063
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Research Institution | Kobe University of Commerce |
Principal Investigator |
加藤 恵正 神戸商科大学, 商経学部, 教授 (80161131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井内 善臣 神戸商科大学, 商経学部, 教授 (10094525)
野津 隆志 神戸商科大学, 商経学部, 教授 (40218334)
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Keywords | 地域交換交易システム / LETS / コミュニティ・ビジネス / ビア・グッチュム / NGO / 社会的経済 |
Research Abstract |
地域交換交易システム(Local Exchange and Trading System)とは、限定された地域内においてのみ流通する地域通貨ないし域内取引の仕組みを指している。近年における地域通貨の台頭はきわめて急で、日本においても100を超える地域通貨が存在しており、世界的には数百に及ぶと推測される。本研究では、地域通貨台頭の背景を、都市・地域経済の転換やコミュニティの変質に求め検討を行った。ここでは、社会的経済の急進や地域産業集積の再編という潮流変化のなかで、グローバル化のもうひとつの側面としての局地化が加速しており、ここに地域通貨の急激な拡大の要因があることを論じている。 また、海外事例として、タイにおいて実験的に行われた地域通貨やコミュニティ・ビジネスの状況について検討を行っている。タイ東北のヤソトン県グッチュム郡ナソ村で2000年3月より地域通貨(ビア・グッチュム)が始まった。本論文では、資料と2002年2月の現地調査をふまえ、次の三点を明らかにした。1.実施までの経緯-1998年からナソ村有志とNGOとの共同作業により、地域通貨が準備された。2.実施可能とした条件-1970年代より自立的な農村開発事業が行われていた。NGOとのネットワークが強固だった。指導者層に地元の仏教僧侶がおり、精神的支柱となった。3.実施による成果-地域通貨準備のための学習を通して、地域経済の仕組み、自然環境、健康問題など多様な知識が学ばれ、集団の結束も強固になった。次世代社会経済システムにおける地域通貨の可能性は、なお未知数であるが中小企業群への適用を含め、大きな可能性を有している。
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