2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630064
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
増田 辰良 北星学園大学, 経済学部, 教授 (70190361)
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Keywords | 新規開業 / 中小企業 / M&A |
Research Abstract |
今年度の研究課題は、新規開業形態に関する日本と海外との比較をすることであった。新規開業形態のうち、中小企業のM&Aによる開業を取り上げた。M&Aを新規開業としてとらえることは、日本でも中小企業論において事業の継承や競争力の確保という視点から論じられることがある。しかし、とりわけ中小企業間におけるM&Aの実態を詳細に分析することは不可能である。そのため具体的に、海外との比較分析をした研究例もない。その理由として、各国とも比較分析のできるM&Aに関する包括的なデータ収集をしていないからである。今年度は、この包括的なデータの収集に努めたが納得のいくものは入手できなかった。そこで、本研究では、日本については公正取引委員会が収集しているデータを採用し、英国については日本との比較可能性を考慮して、公正取引庁が収集しているデータを採用した。いずれのデータとも問題点がある。日本については、In-Inのみのデータであり、英国については、In-InのみならずIn-Out、Out-Inのデータもある。こうしたデータを用いて、M&Aの方向、形態、規模別などを比較分析した。その結果、次のような結論を得た。日本では、多角化型のM&Aが多く、英国では水平型のM&Aが多かった。資産規模でみると、日本では同一規模同士のM&Aが多く、英国では大規模企業による小規模企業のM&Aが多かった。 このことを新規開業や市場での競争という観点から評価してみると、日本では業界間競争が促進され、英国では抑制されている可能性がある。この違いは、国際間における集中度の違いに反映されることになる。こうした研究成果はM&Aによる新規開業業種における集中度の決定要因として、産業間での集中度格差の検証問題へと展開可能である。
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