2000 Fiscal Year Annual Research Report
アジア通貨・経済危機が国際経済秩序に与える影響に関する研究
Project/Area Number |
12630068
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
平川 均 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (60199049)
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Keywords | IMF / UNCTAD / コンディショナリティ / 国際経済秩序 / 構造調整 / 地域協力 |
Research Abstract |
1997年に東アジア通貨・経済危機が勃発して以降の経済の基本動向を確認すると共に、国際通貨基金(IMF)、世界銀行及び国連貿易開発会議(UNCTAD)がどのような対応をしているかを主に確認している。IMFのコンディショナリティが適用されたタイ、インドネシア、韓国でどのように受け入れられているかを考察すると、当初、あまりに急激に危機が深化し、その理由として経済構造の非効率性が指摘されたことに対して、ただ受け入れるしかなかった段階から徐々に事態を相対化する段階に入っていると言える。東アジアは99年、そして2000年と地域の経済成長率は世界最高地域に返り咲いたことをどのように理解したらいいのか、それはへの予測が勃発の当初、あれ程の危機に深化すると思われていなかったことをどのよう考えるかと言う問題とも関わって重要なテーマであるが、危機の本質を道理解するかは、国際経済秩序の変更に影響を与えている。 こうした点を踏まえながら、IMFの指導の評価に関しては批判が強く、IMFの姿勢に変化が窺える。世界銀行は、通貨危機後に新しい開発アプローチに踏み出し始めているように見える。同行はIMFと共にグローバル化を推進する主体のひとつであったが、危機後の構造改革を推し進めると同時に、その後、社会的弱者の救済プログラムに関心を向け留ようになった。開発についても市場を超える包括的アプローチを取り始めている。UNCTADでは、資本移動の規制を容認する立場を取り、発展途上国の利益をより強く打ち出している。こうした見解における総合的な評価と現実の世界経済秩序の関係を今後深めていく必要がある。
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