2000 Fiscal Year Annual Research Report
中部ジャワ金属加工業産地の産業内分業関係と中小企業の経営政策に関する実証的研究
Project/Area Number |
12630074
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Research Institution | Kinjo Gakuin University |
Principal Investigator |
山本 郁郎 金城学院大学, 現代文化学部, 教授 (60105749)
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Keywords | 中小企業 / 産業内分業関係 / マーケティング / 階原構造 |
Research Abstract |
2000年7〜8月にかけて、中部ジャワ州テガル県の金属加工産地において、商工業省県事務所からえられたデータをもと選定した16社の小工業事業主に対するヒヤリング調査を実施した。16社の従業員規模は多くが数人から30人程度、50人以上の企業が2社、また、製品は農機具部品、瓦製造機、病院用ベッド枠など実にさまざまである。なかにジャカルタの日系企業から受注をえている企業が含まれている。 産業内分業関係を中心に、小工業群を4つの階層に分類する。(1)日系企業の下請、全国市場向け機械製品(瓦製造機)を製造する比較的大きな企業。原材料は月単位で仕入れ、部品加工・組立は技術的理由でほとんど内製している。数はきわめて少ない。(2)マーケティングを通じてジャカルタなどの大都市の卸売り問屋や国営企業から受注をとり、最終組立は自らの工場で行うが、部品加工を中心に積極的に地元小企業を下請として利用する。下請業者との関係は必ずしも安定的でなく、小事業者の技術的能力と価格に基づいて決められる。こうした企業は商業資本というわけではなく、事業主の経歴から見ても大都市の大企業などで技術スタッフとして就労した経験を持つものが多い。そこで培った人間関係がマーケッティング活動の基盤となっている。(3)上記類型の企業から部品加工などを受注する下請企業で、原材料なども自己調達する。比較的技術力が高く、時には自ら模倣によって製品を製造し、小商人を通して地方都市市場などへ販売を行う例もある。(4)最下層に位置し、わずかな原材料を購入して蝶番・鉄製柵・門扉など建築部品を製造、地元卸・小売商に販売する零細事業所。このように金属加工産地の小工業群の内実は多様で、利害が錯綜しており、大きな企業集積があるにもかかわらず、技術水準や経営管理能力の向上を目的とする事業主組織や工業組合の組織化が遅れ、産地としての発展を制約している。
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