2002 Fiscal Year Annual Research Report
日系企業の東アジアでの事業展開が長野県経済に及ぼす影響と企業対応
Project/Area Number |
12630075
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
宮嵜 晃臣 専修大学, 経済学部, 助教授 (30200158)
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Keywords | 長野県経済 / 希望退職者の募集 / 輸出誘発効果 / 輸出代替効果 / 環型の産業構造 / 電子回路のデジタル化 / モジュール化 / オープン・アーキテクチャ |
Research Abstract |
13年度の実績報告書に記したように、これまで長野県経済の安全弁の役割を果たしてきた電子部品、デバイスの輸出誘発効果がこれまでのように機能しなくなり、企業の東アジア、とりわけ中国への進出に伴う輸出代替効果、現地法人からの逆輸入効果が強く現れるようになり、長野県経済も雇用調整の段階に入り、雇用環境の悪化に歯止めがかからない状況にいたっている。 長野県企業の人員整理(1件あたり10人以上)は2000年の117件、2920人から2001年には284件、7365人に急増し、2002年は154件、6428人に延べ人数は前年に比べ減少してはいるが、1件あたりの整理人員が大幅に増えている。2002年も東信、南信で前年に引き続き希望退職者の募集、工場閉鎖で、雇用環境の悪化に歯止めがかからず、北信でも長野市で、F社の長野工場、須坂工場等で2002年8月に1685人の削減計画が発表された。長野労働局によると、退職者は昨年末までに1738人に達し、そのうち再就職できたのは約1割の169人に過ぎない。 長野県の常用雇用者(事業所規模30人以上の)は2001年12月から2002年12月に5.0%もの減少を示し、大手の新規採用計画でも、国内生産の減少を見込んで抑制されている。 県内IT関連の大手・中堅の業績不振は叙上のように人員整理だけでなく、下請けの中小企業の受注量減少、受注単価の引き下げとなって現れ、各地域の産業集積のひび割れが懸念される。 電子回路のデジタル化、電子部品・デバイスのモジュール化を基礎に開花したオープン・アーキテクチャのグローバルな進展で、長野県産業の競争優位が崩れつつある中、地域、地域で循環型の産業構造を模索していかなければならない時期にきている。
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Research Products
(1 results)