2001 Fiscal Year Annual Research Report
大企業と中小企業の競争と併存に関する戦後日本の紙・パルプ産業の経営史的研究
Project/Area Number |
12630077
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
四宮 俊之 弘前大学, 人文学部, 教授 (80113801)
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Keywords | 大企業と中企業 / 競争と併存 / 紙・パルプ産業 / 産業集積 |
Research Abstract |
戦後日本の紙・パルプ産業における大企業と中小企業の半ばモザイク的な競争と併存の歴史的な経緯や実態、要件などの分析、解明を目的として、今年も先ず中小の紙・パルプおよび関連諸企業の活動や競争力の源泉などの歴史的態様を把握するために、その業態の研究と経営関係諸史料の収集、精査、および業界関係者からの聞き取り調査に努めた。また、昨年調査した静岡県の富士市と並んで、やはり国内有数の紙パルプ生産地の一つとして知られる四国の川之江市および伊予三島市にある製紙・パルプ企業や工場、関連行政機関などを訪ねて、業界関係者からの聞き取りなどにより同地を中心とする四国地方での製紙業集積の実態などを調査した。 その結果、国内の紙・パルプ産業における大企業と中小企業の歴史的な競争と併存の関係には、それぞれの企業や工場、さらにはマシン単位での生産能力、コストなどの最適性や、国内での製品・市場ニーズの多様性や流通における卸・小売り段階での企業活動、製紙機械や用具などを製造、供給する産業の存在などのほか、さらに同じ産業集積地域ないでの半ば閉じられた競争と併存の論理があって、それらが地域内での企業間の評価の優劣に影響し、企業のあり方やあり様にまで何らかの関わりをもつのではないかと考えるようになっている。次年度は、そうした点も含めての地域的な産業集積と企業間の競争と併存の論理、および歴史的な実態について、さらに分析、解明していきたいと考えている。
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