2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630080
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
馬場 哲 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (40192710)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝村 篤樹 桃山学院大学, 経済学部, 教授 (10196438)
加来 祥男 九州大学, 大学院・経済学研究院, 教授 (30024988)
今井 勝人 武蔵大学, 経済学部, 教授 (10062853)
持田 信樹 東京大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (20157829)
伊藤 繁 帯広畜産大学, 畜産学部, 教授 (00003145)
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Keywords | 上級市長 / 有給専務職 / 名誉職 / 救貧制度 / 都市システム / 住宅事情 / 人工急増地域 / 企業城下町 |
Research Abstract |
本年度は、前年度の研究成果、とくにドイツの都市史研究者との討議を踏まえて、各共同研究者の個別の資料収集と2回の共同研究会を行い、研究成果をとりまとめた。それぞれの骨子は以下の通りである。(1)第二帝政期ドイツにおける代表的上級市長フランツ・アディケスは、国家や地元から相対的に独立して、広範な都市政策を遂行した。また、より大きな都市へと栄転を重ねてキャリアを積み、社会政策学会やプロイセン上院などを舞台とする活動も展開した(馬場哲)。(2)ドイツのエルバーフェルト制度をモデルにした方面委員制度は、1918年に大阪で成立した。これは小学校区を方面として設定し、そこに名誉職としての方面委員を置いて、社会問題の調査と貧困者の指導・救済を行おうとするものであった(加来祥男)。(3)近代日本の地方行財政システムはドイツの制度を模倣したものであり、名誉職から有給専務職へと移行したが、特別市政運動のような大都市行財政の府県から独立の動きは挫折し、日本独自のシステムができあがった(持田信樹)。(4)日本の大都市間の関係を築港計画問題に即して見ると、東京は未開港、横浜は開港、大阪・神戸はともに開港という初期条件の違いがそれぞれの計画に強い影響を及ぼしたことがわかる。各都市の計画への対応の違いは、都市固有の条件と都市間の相互関係に規定されていた(伊藤繁)。(5)昭和7年の東京都近郊5郡の住宅事情は、住宅総数の70%以上を貸家が占め、貸家の建設が地代水準を見ながら農地を転用する形で行われるというものであり、どのような職業の人が多いかによってその地域の家の大きさが決まった(今井勝人)。(6)高度成長期の門真地域は松下電器の「企業城下町」として急速に発展し、全国有数の人口激増地域であった。しかし、住宅・教育・交通・公害問題などに直面して1970年代に入って転機を迎えることになった(芝村篤樹)。
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Research Products
(15 results)
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[Publications] 馬場哲: "西洋経済史研究の現在と学部教育"立教経済学研究. 55・2. 122-128 (2001)
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[Publications] 馬場哲: "都市交通の整備と自治体合併政策-フランクフルトとヘヒスト: 1889〜1952年"経済学論集. 67・4. 98-112 (2002)
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[Publications] 今井勝人: "地方公共団体はバランスシートの次に行政コスト計算書の作成を"エコノミスト. 平成13年8月臨時増刊. 158-159 (2001)
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[Publications] 今井勝人: "38都道府県のバランスシート"地方財政. 平成13年9月号. 4-9 (2001)
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[Publications] 加来祥男: "第一次大戦期ドイツの救貧制度"武蔵大学総合研究所紀要. 11. 1-22 (2001)
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[Publications] 加来祥男: "ドイツ巨大企業の構成と変動-フィドラーのランキング表による素描"経済学研究. 68・2〜3. 97-115 (2001)
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[Publications] 芝村篤樹: "20世紀の大阪が遺したもの"市政研究. 131. 26-33 (2001)
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[Publications] 芝村篤樹: "<大大阪>の時代から受け継ぐもの"大阪の歴史と文化財. 8. 7-11 (2001)
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[Publications] 芝村篤樹: "戦後期の門真"門真市史. 5. 1037-1061 (2001)
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[Publications] 持田信樹: "地方政府による企業課税の意義"地方税. 25・4. 2-8 (2001)
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[Publications] 持田信樹: "付加価値税の政府間割当て-国際比較の視点から"経済学論集. 67・2. 2-35 (2001)
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[Publications] 持田信樹: "地方税原則と付加価値税"都市問題研究. 25・5. 85-91 (2001)
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[Publications] 馬場哲: "西洋経済史学(小野塚知二と共編)"東京大学出版会. 401 (2001)
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[Publications] 持田信樹: "地方行政と地方分権(国際協力事業団国際協力研修所編)"財政の観点から見た途上国の地方分権-タイ・インドネシア・フィリピン. 195 (2001)
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[Publications] Nobuki Mochida: "Michio Muramatsu, Farrukh Iqbal and Kume(eds.), Local Government Development in Post-War Japan"Oxford University Press. 263 (2001)