2001 Fiscal Year Annual Research Report
8-10世紀ヴェネツィアの製塩業・塩商業・商人集団の解明
Project/Area Number |
12630085
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
城戸 照子 大分大学, 経済学部, 助教授 (10212169)
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Keywords | コマッキオ / キオッジャ / チェルヴィア / ラヴェンナ大司教 / ダティウム / 所領明細帳 |
Research Abstract |
平成13年度の研究成果は、以下の5点にまとめられる。 第1に、中世盛期までに、ヴェネツィアと競合する製塩地とその定住地を検討した。10世紀まではコマッキオ(アドリア海沿岸)、11-12世紀にはキオッジャ(ラグーナ南端)、13世紀にはチェルヴィア(アドリア海沿岸)がヴェネツィアと競合する製塩地であった。いずれの時期でも、最終的にはヴェネツィアが優位にたっている。 第2に、製塩業・塩商業は、11-12世紀以前には、塩市場は限定されているものの商業自体は自由に行われており、塩税の課税がない分、価格は低い。それ以降は塩税収入が大きくなってくるため、製塩業と塩商業の掌握が、領主側には重要になってくる。 第3に、もともとの製塩地を修道院や司教などの在地領主が所有し、農民保有地のように領民に分与して塩田として使用させる場合、製塩業自体に封建領主が関与する度合いは大きくなる。例えばチェルヴィアの場合、封建領主はラヴェンナ大司教だった。ラヴェンナ大司教は塩の利益をめぐりヴェネツィアに加え教皇庁とも、対立関係に陥った。 第4に、塩の供給側ではなく消費側から史料を検索する必要がある。そこで中世食物史の成果から、塩が食生活の中にどれほど浸透しており、必需品かを検討した。保存食としての塩漬け豚、チーズ、塩漬け魚を準備するのに、大量の塩が必要である点が確認される。こうした記録を残している修道院経済の史料を再検討することは特に興味深い。 第5に、中世初期の塩をめぐる史料は多くないが、中世初期商業の研究史の検討から、少なくとも農村市場で塩を農民が購入する可能性については、明らかにあると想定されている
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Research Products
(1 results)