2001 Fiscal Year Annual Research Report
移住者の企業家への成長と同郷集団(徳島県人の北海道移住と九州出漁)
Project/Area Number |
12630092
|
Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
佐藤 正志 摂南大学, 経営情報学部, 助教授 (50231345)
|
Keywords | 徳島県 / 北海道移住 / 九州出漁 / 企業家 / 同郷集団 / 阿部興人 / 興産社 / 蜂須賀茂韶 |
Research Abstract |
本研究の目的は、徳島県民の北海道移住と九州出漁の歴史的過程を比較史的に分析し、同郷あるいは地縁的集団がもった「規制力」や「同郷意識」に注目し、それが移動・移住過程および定着・入植後において、人々の行動にいかなる影響を与え、企業家的発展を生み出すエネルギーとしてどのように機能したのか、という点について解明することにある。 本年度は、昨年度に引き続き、北海道移住関連資料の調査と収集を実施し、その整理と分析を行った。なかでも北海道での藍作経営を企図して篠路村に興産社農場を設立、のちに北海道セメント、函館鉄道株式会社、渡島水電株式会社(のちの函館水電)などの企業経営に関わった阿部興人の足跡を調査し、関連史料の収集と分析を行った。とくに、札幌市史編纂室、札幌市篠路および函館市において資料調査を行い、興産社農場と函館周辺に設立された企業関連資料を収集し、阿部の企業家活動を支えていた北海道および中央(東京)の人的ネットワークにおける同郷人の存在と役割について分析・検討を試みた。また、昨年に引き続き阿部興人の日誌・書簡等を含む阿部家文書と、蜂須賀農場を創設し、近代産業の創設に華族として関わった蜂須賀茂韶の関係史料を徳島県立文書館、同図書館、徳島大学地理学教室などで、調査・収集した。とくに県立文書館所蔵の安部家文書(マイクロフィルム)については、「阿部興人日記」を中心に解読し、興産社関連の記述部分をデータベース化する作業を続けた。さらに、当該テーマに関連する市町村誌や企業社史類の調査を行っている。次年度は九州出漁に関する資料収集を行い、本年度までに収集した資料とあわせて本格的に分析・研究を行い、これまでの研究成果をまとめる予定である。
|