2000 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630096
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
小川 英治 一橋大学, 大学院・商学研究科, 教授 (80185503)
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Keywords | 通貨バスケット制 / ドル・ペッグ制 / 為替相場政策 / 協調の失敗 / 国際協調 |
Research Abstract |
本年度は、ASEAN諸国による対日・対米の貿易のみを考慮に入れたモデルにおいて最適な通貨バスケット制を分析したIto,Ogawa,and Sasaki(1998)のモデルを拡張して、ASEAN域内の貿易をも考慮に入れた理論モデルを構築した。その理論モデルの特徴は、ASEAN域内の貿易を導入することによって、ASEAN各国の通貨当局の反応関数が明示化されるところにある。理論モデルにおいては、ASEAN諸国の内の2国を想定して、その2国の対ドル為替相場と対円為替相場がこれらの2国の貿易収支に影響を及ぼすなか、これらの2国の通貨当局が貿易収支変動の安定化を目標として為替相場政策(通貨バスケットに占めるドルと円のウェイトの調整)を行うことを想定する。このような理論モデルにおいて、相手国がドル・ペッグ制を採用しているときには、自国が最適な通貨バスケット制を採用できず、ドル・ペッグ制を採用せざるを得なくなる可能性が示された。このことを両国において考えると、為替相場政策における「協調の失敗」が生ずることになる。 また、本年度は、9月に国際通貨基金調査局の客員研究員として滞在した際に国際通貨基金のエコノミストとこの問題について意見交換を行った。さらに、シンガポール、タイ等のASEAN諸国の通貨当局の政策担当者ともこの問題について意見交換を行った。例えば、シンガポールでは、基本的に貿易加重で計算された通貨バスケットを参照レートとする為替相場政策が採用されているが、その通貨バスケットに含まれるマレーシア・リンギット等の東アジア諸国通貨がドルとの連動性を高めているために、シンガポール・ドルもドルとの連動性が高くなっている。
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Research Products
(1 results)