2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630098
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
竹内 信仁 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 教授 (00022476)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 眞子 近畿大学, 商経学部, 講師 (90309344)
柳原 光芳 名古屋大学, 大学院・経済学研究科, 講師 (80298504)
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Keywords | 世代重複モデル / 労働移動 / 地方経済 / 地方財政 |
Research Abstract |
本年度の主たる研究実績としては、地域特性を考慮し、労働移動が存在するもとでの2地域世代重複モデルを構築したことが挙げられる。これは二年前の年度において『調査と資料』「地域経済の構造と地方財政」の中で行った、地方財政と地域特性との関連性についての現状認識を踏まえ、発展させたものとして位置付けることができる。 本理論モデルの主たる仮定は以下の通りである。第1に、生産における資本利用の有無により、地域を2つに分類した。すなわち、それを利用する「工業地域」と、利用しない「農業地域」である。第2に、各地域においてなされる生産からの労働に対する報酬、すなわち賃金には、各地域の地方政府により一括税が課され、それをもとに当該地における生産に外部性を与える公共財が供給される。第3に、個人は2期間生存し、第1期に地域を選択し労働することで賃金を得、その期の消費と次期の消費にあてる。 このような経済環境のもとでは、経済の均衡が、工業地域の企業による資本需要と個人による貯蓄が等しいという資本市場均衡と、個人の労働選択が合理的なものとなるように工業地域と農業地域の一括税を含む賃金が等しいという労働市場均衡によって描写される。 労働移動の可能性を考慮しつつ、各地域での一括税の変化が労働移動および資本蓄積に、短期的、長期的にいかなる効果を与えるかについて、理論的見地から言及することが可能となった。さらに、それら以外にも、経済厚生に関する定性的な分析をも試みることが可能となった。 また、研究代表者による「地方財政の効率化と地方財政」は、実証的見地から地方政府の行動とその経済に与える影響についてより精査したものであり、研究分担者による「源泉地主義に基づく資本課税の厚生分析」は課税方法に多様性を含む理論的見地からの研究拡張である。これらはいずれも本年度の主たる研究実績に少なからぬ影響を与えるものとなっている。
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