2001 Fiscal Year Annual Research Report
日本企業資本資産のリスクおよび資本コストの測定に関する研究
Project/Area Number |
12630111
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
久保田 敬一 武蔵大学, 経済学部, 教授 (00120858)
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Keywords | 資本コスト / 資本の生産性 / エクイティープレミアムパズル / 個人の最適消費投資モデル / 資産価格理論 |
Research Abstract |
本研究は日本経済における資本コストを実証的に測定し、産業のコスト構造を解明した。企業の最適実物投資意思決定へのインプリケーションおよび日米企業のリスク構造の差異も明らかになった。日米に共通のリスク要因による説明をおこなう資産価格理論を用い、リスク差異の指摘のみならず個別要因分析も行った。日本の10年間にわたる経済収益性低下が、産業構造変化に加えて、資本市場要因、リスク回避度、流動性制約、さらにアグリゲートレパレッジ効果から説明され得る.そして、経済のアグリゲート・リスク、金融市場の実物経済との関連性、および資本コストの識別が統一的な見地からされた。本研究の成果の一部は、平成13年7月に、国際学会Asia Pacific Finance Association Annual Meetingにおいて発表した。また、別の成果は、米国WEBワーキングペーパージャーナルであるwww.ssrn.comに掲示した。一方、理論モデルにより、日本の公的資本が民間資本よりも生産性が低く、さらに東京と他の地域で収束が見られないことを、マルコフ過程に基づく2セクター一般均衡モデルにより明らかにした。民間企業の資本レンタル料したがって自己資本コストに関する重要な癸見が行われた。この成果は、平成14年8月European Econometirc Society Annual Meeitngにて発表する。 また、経済のアグリゲート・リスクと資本コストの識別とを消費者最適行動モデルの見地から行うため、EULER条件検定を、日本の家計消費5分位データにつき行った。資産価格データにおけるリスクプレミアムと消費者の危険回避度の整合性、すなわち収入が高いクラスは資産価格理論の妥当性がより強いこととほぼすべての階級について危険回避度が合理的な範囲にあることが解明された。
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