2001 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
12630127
|
Research Institution | OKAYAMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
山田 幸三 岡山大学, 経済学部, 教授 (40240014)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山路 直人 関東学園大学, 経済学部, 助教授 (40245139)
河合 篤男 名古屋市立大学, 経済学部, 助教授 (10275117)
伊藤 博之 滋賀大学, 経済学部, 助教授 (20242969)
|
Keywords | 企業家精神 / 創発性重視型事業開発 / 戦略主導型事業開発 / 社内企業家 / ペーシングプラス / ビジネスシステム / 輝度向上フィルム |
Research Abstract |
新事業創造の戦略は、全社戦略の主要な内容であり、単に戦略的な意思決定の善し悪しのみを問題とするのではなく、新事業戦略、新事業の管理システム、新事業プロジェクト推進の中心となる社内企業家の活動、新事業プロジェクトを支援する組織機構・風土という多面的な視点からの分析が必要である。この研究では、これまでの研究プロジェクトの蓄積をふまえ、日本型企業家社会の構築という全体的な枠組みのなかで、日本企業における新事業開発の部分的で直観的な言及ではなく、これら4つの主要なテーマを設定して新事業開発についての系統的な学術研究をおこなってきた。平成13年度は、まず新事業創造のモデル企業といえるアメリカの3M社について、最近の代表的な新事業開発である「輝度向上フィルム」開発ストーリーの事例分析と考察を進めた。主として3M本社における4副社長と開発担当者のインタビュー調査の結果をもとに、ビジネスとしてすでに大きな成功を収めている当該事例が、同社の新たな事業開発の制度であるペーシングプラス・プロジェクトとして展開されていくプロセスを詳細な事例研究にまとめた。次に、3M社とは対照的な事業開発のプロセスをとるヒューレットパッカード社の新事業開発能力の変遷を事例としてまとめた。最後に、日本企業の事例として、代表的な合成繊維製造会社である帝人の企業革新とリストラクチャリングの軌跡を事例としてまとめた。これらの事例からは、組織の創発性を重視した事業開発の仕組みと、経営資源の重点配分を意図したトップ主導の仕組みが、新事業開発によってイノベーティブな組織であり続けようとする企業においてプロトタイプとして構築される必要のあることが改めて明らかになるとともに、革新のプロセスが少なくとも2つの異なるフェーズから成っていることが理解できた。われわれの研究結果については、既に作成したディスカッション・ペーパーと事例をもとにプロジェクト参加者全員による細部の詰めをおこなったうえで報告書を完成させ、書籍として刊行することを考えており、出版社と交渉をおこなっている。
|