2002 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジ会計の国際比較及びその適用実態に関する実証研究
Project/Area Number |
12630160
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Research Institution | KINKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
浦崎 直浩 近畿大学, 商経学部, 教授 (60203600)
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Keywords | 金融の自由化・国際化 / リスク管理 / デリバティブ / 時価会計 / ヘッジ会計 / 公正価値 / 包括利益 / ブランド評価 |
Research Abstract |
本研究は,主要諸外国におけるヘッジ会計の理論及び基準設定の整備状況をサーベイし,ヘッジ会計が実務上どのように行われているかを実証的に調査研究し,日本におけるヘッジ会計の理論と実務に対する具体的提言を導くことを主たる課題とするものである。この研究目的に照らした具体的な研究課題は,(1)会計的認識領域の拡大を基礎づける会計理論の文献的検討,(2)公正価値測定システムの構築,(3)公正価値測定の開示という3点にあった。 本年度は,それらの研究課題に基づいて,これまでの研究をまとめ『公正価値会計』という書名で成果を公表した。本書は,金融の自由化・国際化に起因する会計的認識,測定,報告をめぐる諸問題を理論的,実証的に講究することを通じて,公正価値会計という新たな会計領域の体系化を試みたものである。公正価値会計は,企業のリスク管理の顛末を明らかにし,その結果としての財務業績を評価することに役立つ情報の提供を目的とするものである。これを手続的にいうならば,公正価値会計は,金融財を中心とした経済事象を対象に,資産負債アプローチに基づく公正価値を基礎とする測定手続きを適用し,リスク管理や財務業績に関する包括的な写像結果を利害関係者に伝達するシステムであるといえる。 公正価値会計を導入した企業は,その企業経営の業績を包括的に把握することが可能となり,外部の投資者などの利害関係者にとっては企業経営の透明性が高まることが期待されるものである。現在,国際的な会計基準の設定は公正価値を基礎とする会計理論に基づいて行われている。公正価値は,市場を媒介とした市場参加者の行動を測定する唯一の測定尺度であり,企業の経済的実態を明らかにするという点から会計理論,会計実務の展開にとって要諦となっているものである。 近年の経済状況を背景として,ブランドを機軸とした経営戦略が盛んに議論されているが,ブランドの評価も公正価値をベースに行われることが考えられる。本研究で展開した公正価値に基づく測定を,今後は,金融商品の部から全体へと伸展させ,さらに有形資産の評価に適用するとともに,ブランドやビジネスモデルといった無形資産会計にまでその応用領域を拡大していくことが今後の研究課題である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 浦崎直浩: "公正価値会計の体系と展開の可能性"JICPAジャーナル. 14・4. 40-41 (2002)
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[Publications] 浦崎直浩: "金融資産・金融負債の構成比率の分析"税経通信. 57・7. 50-58 (2002)
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[Publications] 浦崎直浩: "公正価値会計"森山書店. 400 (2002)