種間相互作用に断続性のある生物個体群動態の数理モデル解析

2000 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 12640126
• Research Institution: Hiroshima University
• Principal Investigator: 瀬野 裕美 広島大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50221338)
• Keywords: 数理生態学 / 数理モデル / Lotka-Volterra系 / 生態的撹乱 / 共存 / 競争系 / 餌-捕食者系 / 差分方程式系

Research Abstract

●Lotka-Volterra型2種競争系を考え,周期的にこの2種の競争関係を中断する一定期間を与え,その期間中は,2種は独立して増殖するという仮定による数理モデルの解析を進めた。数値実験の結果,競争関係の時間間欠性の特性に依存して,絶滅するべき種の入れ替わりや2種の共存が実現することが明示され,そのような新しい相と競争関係の時間間欠性の特性を表すパラメータとの関係についての詳細な解析を数学的手法と数値実験を用いて進めた。2種共存に関するPersistenceのための十分条件を解析的に導き,その結果も含めて,平成12年8月23-27日に米国インディアナ州West Lafayetteで開かれたThe Second International Conference on Deterministic and Stochastic Modeling of Biointeraction,"DESTOBIO 2000"において研究発表を行った。
●Lotka-Volterra型餌-捕食者系に,断続的な摂動を導入した数理モデルの解析を行うための数理的手法の研究に着手した。1958年にP.H.Leslieによって発見的に導かれた数理的方法を拡張して研究した結果,Lotka-Volterra型餌-捕食者常微分方程式系について,その力学的特性を保持した差分方程式系による離散力学系を構成することができた。離散力学系に周期的に断続する摂動を加えた系については,その等時間ステップ毎の周期的観測によって自然と断続時の系列による離散力学系を構成できる。今後は,この手法をさらに発展させ,断続的な種間関係を導入した数理モデルの解析を発展させる予定である。